「ドン・キホーテ」完読/床屋と帽子
今日は令和元年6月14日。
「ドン・キホーテ」(ミゲール・デ・セルバンテス作/
草鹿宏訳/スズキコージ絵/集英社)
昨日完読した本について、もう少し引用します。
この本は、親切にも、ページの上下の余白に、
本文中の意味や、その時代の解説などが書いてあり、
じっくり読むと、とても勉強になる本でした。
例えば、サンチョのセリフ。
「おらは、*からきし学問がきれえで、
あたまもかなりいかれてるらしい。」
(99p)
次のような意味説明がありました。
*からきし=まったく
ドン・キホーテのセリフ。
「なんと、姫おんみずからこのわしに?
*よもや、わしを*かつぐのではあるまいな。」
(175p)
次のような意味説明がありました。
*よもや=まさか
*かつぐ=だます
私ぐらいの年代なら、この意味説明は不要ですが、
子どもたちが読むなら、適切な意味説明だと思いました。
ドン・キホーテとサンチョが雨をさけて
木かげで休んでいると、
向こうから駄馬にのった男が、
なにやらキラキラ光る物をかぶってやってきました。
それは村の床屋であって、かぶっていたのは
*しんちゅう金だらいでした。
頭が雨に濡れないように金だらいをかぶっていたのです。
(*しんちゅう=銅や亜鉛の合金。細工がしやすいので、
いろいろなところに使われる。)
でもドン・キホーテには、床屋は騎士に、
駄馬は優れた馬に、しんちゅうの金だらいは、
金のかぶとに見えました。
馬とかぶとを手に入れるために、
ドン・キホーテは、勝負を挑みます。
この話が語られているページの上の余白には、
次のような「床屋」の解説がありました。
解説の写真を載せます。
(73p)
これで、なぜ床屋が金だらいを持っていたかがわかります。
グッドな解説、図絵です。
ちなみに、映画「ラマンチャの男」(1972年イタリア)でも、
床屋は出てきます。映画の写真です。
金だらいが欠けているのは原作通り。
床屋から奪い取ったドン・キホーテが
こう言っています。
「その男(床屋)は金に困り、純金のかぶとの半分を、
売ってしまったのじゃ。情けないご時勢よな。
わしが鍛冶屋を見つけて、もとの由緒あるかぶとに
作りかえるとしよう。」
(75~76p)
これを知っていると、映画の中で床屋がかぶっている
不思議な帽子の意味がわかって楽しいですよ。
ついでに、床屋の「あめんぼう」の青が静脈、
赤が動脈は覚えていましたが、
白は包帯だったんだと思いました。
コメント