「室町飢饉救援隊」でわかってきた「有徳思想」「公家と貴族の違い」
今日は3月21日。
前投稿の続きで、2010年3月30日に放映された
「タイムスクープハンター 室町飢饉救援隊」の写真を
使いながら、調べたことを書き留めておきたいです。
「有徳(うとく)思想」
番組の中でこの思想が出てきます。
関係するところを聞き書きします。
飢えた人たちを救援するために、
幕府から派遣された役人たちに、
沢嶋雄一は一緒に行動をともにして取材していました。
ちゃんと役人たちには名前があります。
松田新右衛門(リーダー)
梶原藤三郎(部下)
室戸左近(部下)
倉田彦次郎(部下)
これでよりリアルな話となります。
京都の五条河原で炊き出しをしようとしましたが、
幕府からのお米が移送中に略奪されてしまい、
飢えた人たちに施すお米がなくなってしまいました。
困った役人たち。
聞き書きします。
(沢嶋雄一はナレーター役も兼ねる。その場合は沢嶋ナレとする)
沢嶋ナレ:リーダーの新右衛門は決断する。
新右衛門:わしが自ら用立てる。(自分のお金で米を購入する)
部下たち:それは・・、それは済みませんぞ。(それはよくない)
沢嶋:米をまかなうとおっしゃっていましたが、ご自分のお金で
米を買うということですか?
新右衛門:左様。わしのできる範ちゅうでの徳を施さねばならぬからな。
沢嶋:と言っても、新右衛門さんも楽ではないのですよね。
新右衛門:持てる者が徳を施す。それだけのことではないか。
沢嶋ナレ:持てる者が徳を施す。富を持つものが徳を施す。
これを「有徳思想」という。
室町時代、富を持つものは、
その富を社会に還元しなければならない、
という考えが重視されていた。
幕府が飢饉救済に乗り出したのも、
そういった有徳思想が背景にあった。
新右衛門にとってもその有徳の思いは同じであった。
自分の富に見合った徳を施す、当然の義務と考えていたのだ。
この番組で初めて知った有徳思想。
「ゆうとく」と読みたいところですが「うとく」です。
自分の富に見合った徳を施す。
でも有徳思想を知り、徳の意味することがわかると、
徳政一揆の名称が理解できました。次に書いていきます。
徳の施しを実行しない者たちに、
政府が徳を施すように促す政策を徳政と言います。
簡単に言うと、債権、債務破棄の政策です。(鎌倉・室町時代)
債権、債務破棄の命令をする法を徳政令と言います。
そして、酒屋,土倉などの金融業者の勢力が増大、
その高利に苦しんだ畿内とその周辺地帯の地侍、
農民らが武力蜂起して幕府に徳政令の発布を強要しました。
これを徳政一揆と言いました。 参考:コトバンク 徳政
徳政一揆の「徳」は、有徳思想の「徳」でした。
もう一つ、あいまいに使っていた言葉を
この番組で確かめました。
新右衛門たちは、お米を公家に分けてほしいと頼みに行きます。
「公家」?「公家と貴族の違い」?
番組では、「公家=朝廷に使える貴族 役人」となっています。
Wikipediaより引用します。
公家(くげ)とは、日本において朝廷に仕える貴族・上級官人の総称。
天皇に近侍し、または御所に出仕していた、
主に、三位以上の位階を世襲する家。
公家の称の由来として、元来は天皇または朝廷を指し、
「こうけ」「おおやけ」と読んだ。
鎌倉時代以降、源氏・平氏・藤原氏などの貴族の内で、
武力で天皇に奉仕する幕府を武家(軍事貴族、武家貴族)と
称するようになると、それに対比して、儀式と文治をもって
天皇に奉仕する宮廷貴族一般を公家(公家貴族)と呼ぶようになった。
そうかあ、「公家」の対義語が「武家」であり、
ともに天皇に奉仕する(朝廷に仕える)者たちの意味なのですね。
公家はわかったけど、貴族との違いは?
次の説明に頼ります。
引用します。
ほとんど同じ類の人間を指す場合が多いのですが
いくつかの違いがあります。
貴族の本来の意味は
その血統から社会的な特権を与えられた人、
一族のことを指します。
日本における貴族は古代における豪族を起源とし
その後、律令制度が導入されてからは
位階における五位以上を持つ人、その一族を貴族と呼び
なかでも三位以上が上流貴族とされていました。
(後略)(isb********さん)
2つの資料の説明によると、
朝廷に仕えることでは公家も貴族も同じですが、
武士化していない貴族の中で三位以上が公家なのかなと思えます。
いかがでしょう?
さらに貴族は武家(武士化した貴族)も含みますが、
公家はもちろん含みません。
これで違いが見えてきました。
つづく
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