カルチス・モデルE号は、少しずつ高く遠くに飛び始めた
今日は10月16日。
地元の図書館からボランティアの方が、
学級に本を借りてきてくれる話は以前書きました。
今月は長谷川義史さんの絵が載った本を20冊ほど借りました。
その中の1冊↓
「ヒコーキざむらい」
(今江祥智:文/長谷川義史:絵/フェリシモ出版)
飛行機が苦手なミチですが、
飛行機で旅するのが大好きなおばあちゃんがいます。
83歳になるおばあちゃんが飛行機好きなのは、
おばあちゃんのお父さんゆずりなのだそうです。
ミチからしたらひいおじいちゃんというのは、
飛行機に乗ったことのある数少ないお侍さんなのだそうです。
3mばかりしか飛ばない飛行機でしたが、
乗るかと誘われて、一緒にいたさむらいたちの中で、
「イエス」と答えたのは、ひいおじいちゃんだけだったのです。
次からは本文の引用です。
ひいおじいちゃんは、空たかーくまいあがるつもりでいたのに、
そのヒコーキは、ちょいとうかんでストンとおっこちてしまった。
ーなんでもカルチス・モデルEとかもうしよったわ。
ふむ、口ほどでもないプレインでござったが、みども、
たしかにちゅうにうきもうした。ふむ、鳥のごとくにな・・・・。
というのが、ひいじいちゃんの口ぐせで、
さいしょはだれもが、ヒコーキにのったというから
耳をそばだててきくのだが、
たったの3メートルうかんだだけというのをきくと、
なァんだ・・・・・と思って、もうきいてはくれないのだった。
そのたった3メートルしかとばないヒコーキにのろうというサムライが、
だれひとりいなかったのにー
と、ひいじいちゃんはざんねんむねんがるが、
そのことはもういいたくなかった。
そしてやがて、ひいじいちゃんは、むすめにしか、
そのときの話をしなくなった。
ちょんまげ頭の日本人として、
そのころただひとりのヒコーキにのってとんだ男ーが、
じぶんのとうさんだったことがうれしくて、
むすめ=ばあちゃんは、そのときのようすを何度でも
ききたいとせがんだ。
くり返し話すうち、ひいじいちゃんの頭のなかで、
カルチス・モデルE号は、
鳥がはばたくように、少しずつとびはじめ、
3メートルが30メートルに、
そのうち300mに、それから高さも3メートルから100mにふくらみ、
ひいじいちゃんと、アメリカ人をのせて空高く
まいあがるようになった・・・・・・。 (12~16p)
幼いばあちゃんは、その話をきくのが好きだった。
心のなかで、
(もっともっと高くたかーくあがれ・・・)
と思っていたから、とうさんが話のなかで
ヒコーキを少しずつ高く高く遠くまでとばせていっても、
本気できき、大きくうなずき、ひとみをかがやかせた。そして、
(いまに大きくなったら、わたしもとうさんみたいにヒコーキにのって
空高くまいあがるのよ・・・・)
と、むねのおくで決心していた・・・・・。 (18p)
いいでしょ、この親子の会話。
親子の会話の中、飛行機はぐんぐん高く遠くまで飛びました。
それが気持ちいい絵本でした。
文章も絵もよかった1冊です。お薦めです。
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