大阪でワーキングメモリの勉強 その2
今日は9月15日。
前投稿のつづきで、昨日の講義のつづきをうちます。
「ワーキングメモリと学習の関係
~ワーキングメモリとは? 読み書きの学習を進める大切な力~」
講師:苧阪(おさか)満里子先生
(大阪大学大学院人間科学研究科教授 日本ワーキングメモリ学会理事)
場所:大阪医科大学 看護学部ホール
〇児童RSTの例文
・(低学年用) はっぱの 上に かたつむりが います。
わたしは スイカが 好きです。
・(中学年用) 弟は自転車で学校に通っています。
日曜日は一日中お父さんと遊びました。
・(高学年用) 体操の時間に水泳をしました。
その公園は彼の家のすぐ近くにあります。
・1対1で行う。読んだらすぐに文章の書いてある紙はめくる。
パソコンの画面ならば、すぐに消す。
〇幼児のLSTの例文
・じどうしゃが とても ちいさく みえます。
・はっぱが さわさわと おとを たてました。
・文を被験者が読んだのを聞いたあと、
最初に言った「じどうしゃ」「はっぱ」が言えるかどうかテストする。
・今回は正誤による挙手はなし。
※全文を再生してしまう子どもが、32名中19名。注意の制御系が発達していない。6才。
しかし4才児よりも、全文再生は減少している。
〇ワーキングメモリの注意制御について
・注意の移行・・・注意を何に向けるか
・注意の焦点化・・・妨害があっても記憶する ストループ課題で顕著。
・注意の保持
・抑制制御
・自己モリタニング・・・高次な機能 自分の行動をモニタリングできる。
暗記がうまくいかない自分に気がついて方略を用いて暗記するのも
自己モニタリングができている証拠。
※ワーキングメモリの記憶の力は、個人差はあまりない。
個人差があるのは、注意制御の力のようだ。
〇ワーキングメモリの脳内機能
・中央実行系の注意の制御は、次の3ヶ所のネットワークが大事
①前頭前野背外側部(DLPFC)
②前部帯状皮質(ACC)
③後部頭頂皮質、上頭頂小葉(SPLIPL)
※う~ん、よくわからなかった部分。
いずれわかる時が来るかもしれないので、言葉を書き残す。
〇ワーキングメモリとは?
「目標に向かって一時的な情報の保持と処理を支えるダイナミックなActive Memory」
「私たちの日常生活にかかわる高次認知の基礎を支える」
・高次認知=長期記憶 自己認知(何がわかって何がわからない) 他者認知
場面理解 感情抑制 etc
〇ワーキングメモリ制約を配慮した教育と指導
・ワーキングメモリで一度に使える記憶はわずか(4つ?)
・なぜ暗記がたくさんできないのか→記憶負荷を減らして理解を促進させるため
・大量の情報だと、思考は難しい。
・情報社会で、情報がたくさん増えている。その中でどう動くのがいいのか。
〇ワーキングメモリは能動的、activeメモリシステム
・プランニング、イメージを取り入れた教育・訓練の可能性
※何を覚えたらいいのか、何をガンバレがいいのかを示してあげることのようだ。
どんな授業か示す。授業の初めに授業のテーマを示すのは、理解しやすい。
ワーキングメモリの記憶はわずかなので、
テーマを示してそちらに注意が移行するようにする。
・イメージ(絵)によって、内容が統合されることがある。絵本。
絵を与えることで、2倍の理解力。
〇ワーキングメモリのトレーニングについて
※質問で出た。どんなトレーニングをしたらいいか?
単語を覚えるためには、そこに注意の焦点が向かなければならない。
向くようにするためにはどう訓練するかが課題。
例:ターゲットワードを示して、それを絵に書くトレーニング
「法律」「朝食」「海外旅行」「煮付け」
これだと言語野だけでなく非言語野も使う
RSTを繰り返しても、必ずしもワーキングメモリを向上させるわけではない。
以上が、9月14日に大阪で聴いてきた講義のまとめです。
小嶋悠紀先生が、LDだったら「大阪医科大学 LDセンター」という言葉が印象に残り、
実際にLDセンターが関わる講義に参加してしまいました。
3時間。勉強になりました。
そして同じように勉強にこられている先生がたくさんいて、
それも若者ばかりではなく、自分が浮かない程度の年齢の方が多くおられたので、
居心地が良かったです。
ワーキングメモリは、メモリがついているので、記憶することに目が行きやすいですが、
注意の制御が重要であることがわかり、
トレーニングもそこに視点がないといけないことがしっかり認識できました。
また行きたいなあ。
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