漢語2・・・「肉」の音読み訓読み
今日は12月16日。
前投稿のつづき。
「敵(てき)」「肉(にく)」は漢語とのこと。その読みはしかし訓読みでは?
その疑問を調べてみました。
ビックリ。
「敵」を「てき」と読むのも、「肉」を「にく」と読むのも、音読みでした。
「敵」の音読みは「テキ」、訓読みは「かたき」でした。
「肉」の音読みは「ニク」、訓読みは、馴染みはあまりありませんが「しし」でした。
「テキ」も「ニク」もまるで訓読みのように使ってきました。
もう少し「肉」にこだわってみました。
「しし」と読む時はどんな時でしょうか。
よく太っている肉のことを「太り肉」と書いて「ふとりじし」と読むそうです。
「腹に肉が付く」と書くと、「にくがつく」と読みたくなりますが、「ししがつく」とも読むようです。
※参考http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/96062/m0u/%E3%81%97%E3%81%97/
Wikipediaによると、日本語では古来、
食肉を産する獣そのものも含めて「しし」と呼んでいましたが、
漢語の「にく」に完全にとって代わられたそうです。
したがって「しし」はあまり見かけないのです。
でも名残りはあります。
イノシシのことを昔は「ゐ」と言っていました。
「ゐの肉」のことを「ゐのしし」と言って、いつしか動物名にもなりました。
同じようにシカのことを昔は「か」と言っていました。
「かの肉」のことを「かのしし」と言っていましたが、この言葉は廃語になったそうです。
「しし」のみでシカを表した時期があったようで、
「ししおどし」は「鹿威し」が語源だそうです。
http://www.kenchikuyogo.com/212-shi/015-shishiodoshi.htm
漢字を「肉」ではなく、「宍」を使って名前に使われることはあります。
「肉」の異体字が「宍」です。
※異体字=読みや意味は同じであるが、形が違う字。
もう一つ「肉」の訓読みを見つけました。
「常用字解」(平凡社)によると、
肉の音読みは「ニク」「ジク」、訓読みは「しし」と「はだ」でした。
さらに次のサイトに面白いことが書いてありました。
辞書によっては、「肉」の音読み「ニク」だけでなく、訓読みにも「にく」と書いてあるそうです。
これは「ニク」という音読みが生活に密着した結果、漢語の意識が薄れ、
和語に準ずると辞書の編者が判断した結果と思われます。
「菊(キク)」「絵(エ)」「幕(マク)」「象(ゾウ)」も、辞書「大字源」には、
これらの読みが、音読み訓読み両方に書かれているそうです。
「肉」と同じ流れだと考えられます。
音読み→訓読みへと移行する現象を、今回「肉」の読みにこだわったことで初めて知りました。
これが最大の収穫。
国語の教科書で、漢語の代表として「肉」が出されていますが、
本当に適切なのか疑問が残ってしました。まぎらわしいですよ。
こんばんは。お久しぶりです。
僕も昔「肉」は訓読みだと思っていて音読みは何だろうって
ずっと悩んでいました
本当に ビックリ ですね。
驚きました。
投稿: Nayuta | 2011年12月17日 (土) 22:07
Nayutaくん、コメントをありがとう。
肉の音読みでずっと悩んでいたなんて、Nayutaくんならではですね。
悩みの解消に役立って良かったです。
投稿: いっぱい道草 | 2011年12月18日 (日) 06:05