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2024年3月11日 (月)

本「ゴジラ音楽と緊急地震速報」② 緊急地震速報チャイムの基本コンセプト

   

今日は令和6年3月11日。

  

3月8日の記事の続きで、

「ゴジラ音楽と緊急地震速報」

(伊福部達監修/筒井信介著/ヤマハミュージックメディア) から

引用します。

  

もう一つ大きな理由として挙げられるのは、このチャイム音ができる

だけ多数の聴覚障害者に聴こえるようにしたい、という発注側の配慮

によるものだ。緊急地震速報チャイムは、健常者だけを対象にしてい

るわけではない。伝える情報の重要性からいって、一人でも多くの聴

覚障害者に伝わることが望ましい。聴覚障害にも先天性、加齢型など

さまざまなタイプがあり、すべてに対応するチャイム音を作ることは

不可能だが、どういう音響がどのタイプの聴覚障害に聴こえるかは、

福祉工学における長年の研究データから、かなりの程度まで判断でき

る。これらの意味により、福祉工学の第一人者である伊福部に白羽の

矢を立てた製作委員会の判断は、実に正鵠を射ていたといえる。

あのチャイム音を聴いて、作曲家がピアノで適当に作ったのだろう、

と考えている人がいるかも知れないが、実はこのような経緯が背景に

あったのだ。

(38〜39p)

  

前記事にも書きましたが、伊福部達さんが

伊福部昭さんの置いだからではなく、

伊福部達さんの研究していることに着目しての

選抜あったのです。

  

伊福部によると、こういった音と心理の関係は、聴覚が形成されたサ

カナの時代に獲得されたのではないかという。つまり、平穏な水の動

きは安心感をもたらし、外敵が迫ってくる時の乱れた水の動きは不安

な気持ちをもたらすのだ。和音でいうと、前者が長三和音にあたり、

後者が減音程に相当する。

人間の耳で考えると、有毛細胞の振動が基底膜に伝わって、この基底

膜がきれいな振動パターンの時は協和音であり、それが乱れると不協

和音に感じるという。

したがって、緊急地震速報チャイムのように「危ない、逃げろ」とい

うメッセージを伝える場合、あまり安定的な美しいメロディーは適さ

ない、ということがわかる。だからといってあまり恐いメロディーに

してしまうと、恐怖心が強すぎて身体がすくんでしまうということも

考えられる。

緊急事態であることを察知して、速やかに避難行動をとれるようなメ

ロディー、これが緊急地震速報チャイムの基本コンセプトとなった。

(55〜56p)

  

ここまで考えて作成された緊急地震速報なので、

避難しようと言う気持ちをうまいこと引っ張り出してくる音だと

思います。この本を読むことで納得です。

  

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