レーピン筆「トルコのスルタンへ手紙を書くザポロージャ・コサック」
今日は令和5年12月25日。
他の家を多く知っているわけではないのですが、
我が家は押し入れが多いと思います。
それは、この家を建てた父親、母親の性分によります。
捨てることができない両親なので、
家を建てるときに、押し入れをできるだけ増やしたのだと予想します。
結果、たくさんのものがしまい込まれています。
母親が死んで15年、父親が死んでまもなく1年。
少しずつ押し入れの中身を片付けてはきたのですが、
なかなか完遂しません。
先日は、寝室だった部屋の天袋と呼ばれる押入れを片付けました。
5つのゴミ袋が出ましたが、綺麗な品物もあって、
リサイクルショップで売ったらいいなというものもありました。
何枚かの絵が出てきました。
雑誌の付録のようです。
ほとんど捨てましたが、気になったものを2枚、残しました。
その1枚。
「ざぼろじえの人たち レーピン筆 国際写真情報12月号付録」
と書いてあります。
国際写真情報は、Wikipediaによると、大正11年から、
戦中戦後の休刊をはさんで、昭和43年まで発刊された
月刊グラフ誌でした。
グラフ誌というのは、写真が中心の雑誌です。
レーピンは、ロシア帝国時代に活躍した画家・彫刻家。
この絵について調べたく、Googleレンズを使いました。
どうやらこの絵には、レーピンによる同じような構図の
絵画があるようです。
この絵です。
ここから転載しました。
作品名は「トルコのスルタンへ手紙を書くザポロージャ・
この絵の詳細な解説は、このサイトが良さそうです。
日本のルーブル美術館を目指すサイト イリヤ・レーピンの『トルコのスルタンへ手紙を書くザポロージャ・コサック』解説~ロシア美術館所蔵
引用します。
時は1667年ロシア。
黒海に近いドニプエル川下流の地ザポロージャに、ウクライナ・コサッ
クが本営を置いていると、トルコが攻めてきました。激戦のさなか、敵
のスルタン、メフメト4世が「降伏して臣民になれ」と勧告してきたの
に対し、誇り高いコサックたちの怒りは爆発。さっそく返事を出すこと
に。
とはいってもコサックのアタマン(頭目)は字が書けません。いつも通り
書記に口述筆記を頼みます。
「おまえらが悪魔の糞を喰らおうと、こっちの知ったこっちゃねえ。
だがな、善きクリスチャンたる俺たちを支配できるなんて考えは、金
輪際持つなよ。このブウタレ音たれる肛門ロバ野郎め。肉屋の野良犬
ふぜいが!」
以下、延々続く下品きわまりない罵詈雑言に周りの仲間が腹を抱えて
いるという図。(中略)
この作品は発表後たちまち人気を呼び、レーピンは本作以外に二点の
ヴァージョンを描くことになりました。コサックらしい自由闊達とユ
ーモア感覚、豪胆さと仲間意識、そうしたものへのレーピンの強い共
感が見るものを魅了してやみません。
以上です。
この作品が最初のものであり、押し入れから出てきたのは、
別バージョンだということです。
レーピンはウクライナの人でした。
降伏しろと言ってきた王に、降伏してたまるかという
手紙を書くのは、今のウクライナ・ロシアの戦いにも共通します。
こんな写真をネット上で見つけました。
明らかに、レーピンの絵の真似をしています。
引用します。
で、これを今ウクライナ兵が写真に撮ってネットに上げる、
「プーチンのクソッタレ」
側の士気の高さと教養を感じさせてくれます。
現代と繋がりました。
レーピンは、この絵で知っていました。
「ヴォルガの船曳き」(1870-73年)
圧倒される画家です。
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