« 続「週刊新潮」12月22日号 | メイン | 「無人島のふたり」② 今だけを見つめる技が習得できないものか »

2022年12月29日 (木)

「無人島のふたり」① 膵臓がんでステージ4と告知

    

今日は令和4年12月29日。

  

この本を読みました。

81jfhvfb1vl

amazon

「無人島のふたり 120日以上生きなくっちゃ日記」

(山本文緒著/新潮社)

ここでも道草 「自転しながら公転する」の著者が死をどう書いたか(2022年11月23日投稿)

☝ この本を読むきっかけはここに書きましたが、

アマゾンで注文して、すぐにでも読もうと思っていましたが、

今年ぎりぎりになってしまいました。

   

2021年3月に膵臓がん、ステージ4と診断され、

同じ年の10月13日に亡くなってしまった山本文緒さん。

本によると、6月1日に余命4ヶ月と宣告されています。

私にとって、思い浮かぶ最も酷な死に方です。

いつか自分の身にもやってきそうで萎縮してしまいます。

山本文緒さんは、どんなことを書いたか。

じっくり読みました。

  

日記は2021年5月24日に始まっています。

  

5月25日の日記。

 

突然髪が抜け始めた。

朝起きてパジャマを脱ぐと裸の背中に何か触るような感触があって

振り向くと床に大量の毛が落ちていた。指でひっぱると束になって

抜けて青くなった。昔見た「太陽を盗んだ男」という映画で被爆し

たジュリーの髪がごそっと抜けていたシーンが頭を過る。洗面所へ

走り、ブラシで梳かすと引くほど抜けた。

抗がん剤は一度しかやっていないし、それも3週間ほど前に終わっ

ていたので脱毛はもうしないものだと思っていたのでショックが大

きかった。

夫を呼んで伝えようとしたら、言葉より先に涙が出てしまった。床

に抜け落ちる髪を見て事態を察した夫は、「大丈夫だよ、大丈夫」

と自分に言い聞かせるように呟きながら、もらい泣きをしていた。

髪は引っ張れば引っ張るほどいくらでも抜けて、洗面所に座り込ん

で狂ったように髪を抜いた。その間、夫は私の寝室の床に掃除機を

かけ、毛だらけになったシーツも洗濯してくれた。

しかし人間の頭には驚くほど髪の毛が生えていて、いくら抜いても

傍目にはまだどこも脱毛しているようには見えない。頭皮が痛くな

って呆然(ぼうぜん)としているうちに、そうだ、まだ自分の髪が

あるうちに外を歩きたいと思いつき、夫に頼んで車で少し行ったと

ころにあるカフェに連れて行ってもらった。(中略)

明日は緩和ケアをやってくれるクリニックへ初診に行く。

ちょっと前までは重病患者は大きな病院の主治医の先生に頼り切り

の印象だったけれど、今は様々な相談先があるようで有り難い。う

まく死ねますように。

(11~12p)

  

さっそく印象に残る文章です。

「人間の頭には驚くほど髪の毛が生えていて」

そうなんですね。人間の髪の毛はけっこう生えているんだ。

土壇場でも冷静になった瞬間です。

  

今は様々な相談先があることを、アドバイスとして読みました。

「うまく死ねますように」は勇気ある言葉です。

でもこういう気持ちになるのかな。

  

 

膵臓がんで、ステージ4と告げられた時の話です。

腫瘍の位置が悪いことで手術はできず、転移していなければ放射線

治療も考えられたそうなのですが既に転移もあり、残された道は抗

がん剤しかありませんでした。しかし抗がん剤でもがんが治るわけ

ではなく進行を遅らせるだけだということでした。

そんなことを急に言われても、というのが正直な気持ちでした。

私は毎年きちんと人間ドックを受けてきたし、煙草とお酒は13年

前にやめて一度も飲んでいないし、食生活だってそう無茶をしたも

のだとは思いません。

膵臓がんってそんなに見つからないものなの?

(16~17p) 

  

急に言われるものなんだろうな~。怖いです。

私も人間ドックを受けてきたし、

内科でも1カ月おきに診てもらっているし、

食事も注意するようにしています。

がんにならない食事のトップであるニンニクは、

毎日食べています。

もしがんと言われたら、すぐに納得できないだろうな。

  

 

山本文緒さんは、抗がん剤に、告知の翌々日から挑んでいます。

  

やるしかないと勇んで挑んだ抗がん剤だったのに、私はけちょんけ

ちょんにやられました。もう二度と体に抗がん剤を入れないと決意

を固めただけのつらい一週間でした。

(17p)

  

抗がん剤は、抗がん剤で死ぬんじゃないかと思うほど

辛いと聞いた事があります。

山本文緒さんの文章からも、その辛さが伝わってきます。

自分もやりたくないな。

  

そうなると、待っているのは緩和ケアにあるのです。

もう助からないのを前提に、日を過ごしていくのです。

なんと無慈悲な病気なんだと思います。   

コメント

コメントを投稿

最近の写真

  • Img_8528
  • Img_2991
  • Img_2990
  • Img_2987
  • Img_2983
  • Img_2981
  • Img_2979
  • Img_2977
  • Img_3293
  • Img_3292
  • Img_3291
  • Img_3290

楽餓鬼

今日はにゃんの日

いま ここ 浜松

がん治療で悩むあなたに贈る言葉