「情報の悪意」④ 「森林を増やせば二酸化炭素が減る」のウソ
今日は令和4年2月12日。
前記事に引き続き、
「情報の悪意」(武田邦彦著/徳間書店)から
引用します。
「森林を増やせば二酸化炭素が減る」のウソ
(中略)
森林が二酸化炭素を吸収する。そう認識しているかたは多いはずです。
地球温暖化の防止には、温室効果ガス、中でも影響が最も大きいとさ
れる二酸化炭素を大気中に増加させないことが重要であり、地球上で
二酸化炭素を循環させるには、森林がその吸収源として大きな役割を
果たしていると言われ続けてきました。
ところが、これが大きな間違いだということに気づいていない人が多
いのです。日本人は、誰かが教えてくれたことを、自分の意見にする
傾向が強く、自ら調べたりすることがありません。「森林が二酸化炭
素を吸収する」と思い込んでしまっているのです。
その結果、「森林を増やせば二酸化炭素が減る」「森林破壊はすなわ
ち、環境を破壊することと直結している」などと、間違った道徳的な
思想が巷に溢れていきました。
まずは、森林をつくり出すメカニズムについて、お話していきましょ
う。
1本の木をつくるには、山に種(苗)を植えることから始まります。
やがて種から芽が出て少しずつ成長していきます。この時、空気中か
ら二酸化炭素を吸収して、葉の中で光合成を行います。二酸化炭素は
化学記号で「CO2]と書きますが、C(炭素1原子)とO2(酸素2原
子)に分けた際、木は人間ほど酸素を必要としないので、成長過程に
おいて大半以上の酸素(O2)を空気中に放出して、自ら体内に取り込
んだ炭素(C)の力で成長を促進させて、生きていくエネルギーに変
えているのです。
時間をかけて少しずつ大きくなり、20~30年くらい経つと、立派
に成長した大人の木となります。
けれども、大人になってからその後も20~30年生き続けると、枯
れて落ちていく枝や木の表面の樹皮を新たに再生させるために一定程
度の光合成は行うものの、成長過程と同じくらいの光合成は行いませ
ん。
(169~170p)
成長期の木は二酸化炭素を吸収するが、
成長してしまった木は、二酸化炭素を吸収しないのです。
そうなんだ。
ところが日本では、「二酸化炭素を減らせば地球温暖化を食い止めら
れる」と言って国民を信じさせようとしています。これによって、
「森林を伐採することは悪。割箸をつかわずに『マイ箸』を使うこと
は善だ」
と公言する人たちが現れました。政府が主宰する科学会議では、「森
林が二酸化炭素を吸収する」と平然と言ったかと思えば、子どもたち
に正確なことを教えなければならない小学校や市役所といった公の機
関ですら、「樹木が二酸化炭素を吸収して、二酸化炭素の排出を減ら
しているんだよ」と、誤った情報を教え続けたのです。
(171p)
教師の責任を感じます。
森林は二酸化炭素を吸収するとどっぷり思っていました。
さらにもう一つ、森林を過剰なまでに保護したことによって生じたの
が、花粉症患者の増加でした。(中略)
日本は先進国の中ではスウェーデンとフィンランドと並んで、国土面
積における森林の占有率が高い国で、実は68%を占めていますが、
この3か国の中で最も森林使用率が低いのが、実は日本なのです。
かつて1960年代は森林を伐採して紙をつくっていたので、森林の
使用率は88%もありました。ところが現在はその4分の以下までに
減っているのです。そうした影響から、まったく成長せずに二酸化炭
素を吸収しない老木が膨大に残ってしまいました。その結果が、花粉
症患者の増加につながったというわけです。
戦後になってスギやヒノキを必死に植林したものの、全国の森林に行
くと、現在では材木にならない荒れた木々ばかりが残っています。樹
木は本来、双葉から成長して青年期を迎え、成長が終わった中年期に
なると、次世代に子孫を残すために花粉をまき散らします。
これがかつてのように森林を頻繁に伐採していた頃であれば、木々が
「今以上に成長しない」と判断した時点で切り倒して、木材として利
用していました。
しかし、今は違います。成長が止まっても木材として利用することが
少なくなったために、スギやヒノキの木々はほったらかしにされ、使
用の用途が少ない老木になって、花粉をまき散らす構図ができあがっ
てしまったのです。
(174~175p)
花粉症は日本の森林の事情が関係していたのですね。
かつて花粉症について調べたことがありました。
※ここでも道草 「世界」(2020年5月号)⑤ 日本国内で初めて花粉症患者が出たのは1961年(2020年4月26日投稿)
この時の疑問は、今回すこし解決しました。
私が花粉症にならない理由はまだわかっていません。
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