「圧力隔壁説をくつがえす」② 「異常外力」が垂直尾翼に加わっていた
今日は令和3年9月12日。
前記事に引き続き、
「日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす」
(青山透子著/河出書房新社)
より引用していきます。
今になって、事件を決定づける「異常外力」について記された一枚
が、膨大な書類の間からこっそり出てきたのである。
(72p)
専門家が語る公文書の不可思議な特性として、膨大な資料の中に時
折気付かないうちに追加されることもあるとのことだったが、実際
に外務省の公文書で私はそれを体験した。
(73p)
部分的に引用しているので、流れがわかりにくいと思います。
事故調査報告書の別冊に垂直尾翼の中央付近に、
異常外力が加わったことを示す資料があったということです。
ちょうどこの本の表紙で使われた図です。
報告書は公開されましたが、別冊は公開されなかった模様。
この『別冊』に話を戻すと、これが最初に出された1987年時の
報告書とともに同時に公開されていれば、事件の原因が明瞭になっ
たはずであり、圧力隔壁破壊は、誰もがおかしいと納得できたはず
である。逆にいえば、意図的に隠された公文書となる。
(74p)
あらゆるデータが示しているこの異常外力の存在は否定できないの
である。しかも、垂直尾翼先端ではなく、黒い丸印が示す通り、尾
翼中央の胴体部分に近いところであり、ここに外からの力が加わっ
た、という事実は消せない。だから『別冊』で、その存在を書かざ
るをえなかった。
(77p)
外力によって穴の空いた垂直尾翼が、なぜ内圧で吹き飛ぶのか。子
供でもすぐわかることを35年間も騙してきたのである。
こういう「目眩まし手法」で報告書を書き、素人である国民を欺く
専門家がいたとして、そこにいかなる政治的判断があろうとも、こ
れでは、521人の死の証明にはあまりにお粗末であり、たとえ権
威ある研究者であっても政府側に阿(おもね)った発言をして許さ
れるはずがない。
(88p)
重要なことは「情報を持ち、隠すことができれば、無知を意図的に
支配できる」という見本が、この日航123便であってはならない
ということだ。これを悪しき事例とするのではなく、私たちが騙さ
れないようにすることこそが未来への義務である。
(100p)
「異常外力」の説明はなされないままきています。
それでも「圧力隔壁破壊」が墜落の原因だとしています。
おかしいことです。
青山さんは,異常外力着力点をミサイル等が着弾した証拠と言っています。
でも,この点には批判があります。実際
「異常外力の着力点は表現であり,外部からモノが当たった可能性のみを言っているわけではなく,
急減圧によって垂直尾翼外板剥離や空気噴出といったものを含めての表現である。」
と批判があったことを青山さんは書いています(JAL裁判 p247 )
事故調別冊p95では,約11トンの前向きの異常外力を,
断面積5800平方インチ・圧力差4.2psiの空気噴流と説明しています。
青山さんはここを見落として「事故調は異常外力の調査をしていない」
と言っているように思います。
なお,別冊は1987年の紙冊子発行時から公開されています。
これは三宅弁護士も記者会見で確認しています(隠された遺体p256)。
「意図的に隠されてきた公文書」という青山氏の主張は,当たらないと思います。
投稿: NaokoSam2 | 2025年6月15日 (日) 15:29
NaokoSamさん、コメントをありがとうございます。
あらためて「JAL裁判」の該当ページを見たり、
「隠された遺体」の該当ページを見たりしていました。
異常外力着力点についての批判があったことは
確かに青山さんは確認しているし、
その批判をまた批判していました。
確かに別冊は1987年の裁判で、原告側から
裁判所に提出されていたようですが、
これは公開されていたのでしょうか。
そこのところがよくわかりませんでした。
また調べたいのですが、
この異常外力着力点の図がネットで公開され、
青山さんが関連著書を書いたのは、
1987年の裁判よりもずっと後でしたよね。
裁判では提出されましたが、それに気づいて、
問題になるまでには時間がかかりました。
意図的と断定していいかわかりませんが、
積極的には公開されなかった公文書とは思いました。
願わくば、相模湾に落ちた尾翼の回収が必要だと、
今までも何度も思ったことを再びここに書きます。
事故40年目。
青山さんの新刊本も出るそうなので、
また読んで、整理したいと思います。
いいきっかけをありがとうございます。
投稿: いっぱい道草 | 2025年6月16日 (月) 22:01