「『顔』の進化」② アジア人の顔は四角柱
今日は令和3年8月11日。
前記事に引き続き、
「『顔』の進化」(馬場悠男著/講談社ブルーバックス)
より引用していきます。
鼻は顔の中では、形や大きさの個人差が実際以上に大きいと思われ
るパーツである。地域集団(人種)によっても大きく違うと、多く
の人が思い込んでいる。その原因の一つは、周りから隆起する部分
だけが目につくからだ。
(112p)
この章のタイトルは「見かけの鼻だけが鼻ではない」です。
隆起したところだけが鼻ではないようです。続きを引用します。
ウマを見ればわかるように、本来、動物の鼻は大きな鼻腔(びくう)
を収めるために、顔の前上部を大きく占めていた。ところが、ヒト
では顔が平らになったことで、顔に収まりきれない部分が生じ、外
鼻として顔の中央部にはみ出してきた。それだけが鼻であると、我
々は誤認しているのだ。
したがって、身体のわりに顔が小さい人は、我々が鼻と認識してい
る部分が隆起する傾向があり、身体のわりに顔が大きい人は隆起し
ない傾向がある。大柄で顔の小さいヨーロッパ人の鼻がみごとに隆
起しているように見えるのは、当然なのである。
(112p)
鼻腔というのが鼻の一部であって、
その部分が顔に埋もれているというわけです。
ヨーロッパ人の鼻が高い理由が、
こんな説明で納得がいって楽しい。
ところで、ヒトは「くしゃみ」のしかたがおかしい。くしゃみとは、
鼻腔の鼻汁や異物を吹き飛ばすためにするものであり、咳が気管か
ら痰を出そうとするのと同じ生理現象である。
だから、イヌは口を閉じ、正しく鼻からくしゃみをして、鼻汁と異
物を吹き飛ばしている(喉頭が鼻腔に直結していることもある)。
ヒトも赤ん坊はそうしている。
ところがヒトは、知恵がつくと、あるいは色気づくと、「エチケッ
ト」と称して、鼻の奥の鼻咽頭を閉じ、口を開けてくしゃみをする。
これでは鼻汁と異物を出すことはできない。そして、本来の用を足
すためにわざわざ、ティッシュペーパーを使って鼻をかむ(資源の
浪費)。
(116p)
そう言われても、赤ちゃんのように鼻から鼻汁や異物を出す
くしゃみをするのは勇気がいると思います。
でも正しいくしゃみを知ることができました。
香原志勢は人種による顔の構造の違いを、寄せ木細工に見立てた模
式図をつくって説明した。表3-1とあわせてみていただきたい(
図3-1)特徴的なのは、アジア人とヨーロッパ人の顔の違いを四
角柱と三角柱になぞらえて表したことである。ヨーロッパ人の顔は、
正中部が突出し、外側部が後退しているが、アジア人の顔は、正中
部の突出や外側部の後退がなく、平らであることがわかる。
(144p)
これもわかりやすい。
そしてこのことを理解すると、次の文章もわかります。
ヒトは、一般には正面顔で認識され、パスポートの写真も正面顔で
ある。では、我々は、横顔ではお互いを認識しているだろうか。横
顔で他人を認識できるのだろうか。
ヨーロッパ人は鼻が高く隆起し、頬が引っ込んでいるので、横顔で
も個体識別することが可能である。ところがアジア人は、稀な例外
はあるが、一般には横顔では個体識別ができない。
紙幣に印刷された偉人の顔は、斜め正面のことが多いが、コインに
刻まれる顔は、必ず横顔である。それは、コインに顔を刻みはじめ
たのがヨーロッパ人(西アジア人も含む)だったからだ。もし、東
アジア人がコインに横顔を彫ろうとしても、個体識別ができないの
であきらめざるをえなかっただろう。
(168p)
アジア人の顔は四角柱なので、
横からでは個体識別ができないわけです。
勉強になったぞ。
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