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2020年12月19日 (土)

「自転しながら公転する」① 読後スッキリする完成品の本

   

今日は令和2年12月19日。

  

この本のタイトルは印象深い。

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「自転しながら公転する」

(山本文緒著/新潮社)

    

ある番組で、ゲッターズ飯田さんが、

悩みのほとんどは人間関係だと言っていました。

この本はまさにそのことを描いていました。

主人公の都が、周囲の人たちと出会い、悩み、言い合い、

ゆっくり事が進行していきます。

 

上記のamazonから、私の中にあるものにピントを合わせてくれたもの。

 

久しぶりの山本文緒の作品、読中なぜか気になったプロローグ、エピ

ローグでやっと納得できた、感情豊かな都、冷静な寛一、「明日死ん

でも百年生きても触れたいのは彼だけだった」という都の言葉は強烈、

そして最後に結婚する娘に言う言葉がかっこいい「別に幸せになろう

としなくてもいいのよ、幸せにならなきゃって思いつめるとちょっと

の不幸が許せなくなる、少しくらい不幸でいい、思いどうりにならな

いものよ」作者は作品を通じて読み手に素敵な言葉を与えてくれる、

今回も期待を裏切らない作品だった。

  

私も山本文緒さんの他の本を読みたくなりました。

女性の感情をぐんと深く描いていて、充実した本でした。

特に前半。女性が考えている心の声と、

実際に話している言葉が微妙にずれていたのも楽しかった。

女性って、よそ行きの話し方をするんだなと思いました。

   

amazonのレビューをもう一つ。

  

エピローグとプロローグは蛇足かな。著者が都と貫一が結婚した先ま

で書きたかったからなんだろうけど、小説全体に流れる雰囲気を壊し

てる気がする。でも、全体的によく出来た小説で、長いけど一気に読

める面白さがあった。私も自分は高学歴高収入だが、貫一みたいなあ

る意味すごく馬鹿だけど生き物として本質的に強いタイプの男に本能

的に惹かれる(一方で不安にも思う)ので、都の気持ちにも共感でき

た。幸せになりたいと思わなくていいというのはすごく共感。私は幸

せという概念は抽象的すぎて興味がない。彼氏が欲しい、正社員にな

りたい、海外に行きたい。そういう具体的な欲求なら良いが、漠然と

ただ幸せになりたいというのは、世界で一番美味しいものを食べたい

と言っているようなもの。霞を掴むようなものだ。幸せという概念に

あまり興味がないからこそ、逆説的に自分は幸せなのだろうと思う。  

  

一気に読むことができた本でした。

寛一に惹かれていくのは、男性だけど共感できました。

こんな男性になりたいという気持ちがあります。

  

本は、時間をかけてじっくり書かれ作られたものだから、

どの本もが、完結した完成品だと思いこみがありました。

でも、昨年からせっせと本を読んできて、

必ずしも完成品ではないなと思うようになりました。

ちゃんと完成したものを発行してよと突っ込みたくなる本もありました。

でもこの本は完成品だと思いました。

読後スッキリします。

   

  引用は次の記事で書きます。

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