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2020年8月 2日 (日)

「避けられた戦争」④ 日本は道を誤った

   

今日は令和2年8月2日。

  

前記事に引き続き、

「避けられた戦争 1920年代・日本の選択」

(油井大三郎著/ちくま新書)より引用します。

  

 石橋(湛山/たんざん)は、満蒙の特殊権益を放棄しても、中国

全土で自由な経済活動が可能になればその方がずっと大きな利益に

なると主張しているのであり、それは先の幣原(喜重郎)の主張と

一致するものであった。つまり、ワシントン会議において対中門戸

解放政策の受け入れを主張する人々は、満蒙の特殊権益に固執せず

に、中国全土との貿易を重視した方が日本の利益になると主張して

いたのであった。この論点こそ、後の満州事変が不可避化どうかに

つながる重要な論点であった。

(92p)

  

1921年(大正10年)に石橋湛山が発表した文章によります。

こういう意見もあったのです。でもこの方向に日本は行きませんでした。

   

  

 (1921年)11月12日の(ワシントン会議)開会直前、原

首相が東京駅で暴漢に襲われ、死去したので、日本は強力な司令塔

を失うことになった。

(70p)

  

 原敬内閣では、植民地総督の文武官併用制の採用を進めるととも

に、加藤友三郎海相のワシントン会議出席中に原首相が海相事務管

理を担当することで、軍部への文民統制への手がかりをつけようと

したが、その直後に原首相は東京駅で刺殺された。

(94p)

  

原敬首相が刺殺された場所は、見に行っています。

ここでも道草 東京駅開業100年9/原敬遭難場所(2015年2月7日投稿)

原首相が為そうとしていたことは、

ワシントン会議での軍縮のリーダーシップ。

そして軍部への文民統制だったようです。

そのような志なかばでの死。

100年前はそんなことが起こりえる時代だったのですね。

   

  

 英米は、1927年から28年にかけて、中国を代表する政権は

国民党政権になると予想し、彼らが強く要求する不平等条約の改正

に応じるとともに、英国の一部の租界(漢口や九江)の返還にまで

踏み込むことによって、中国と関係改善を図っていったのであった。

それに対して、田中(義一)政権は、満蒙権益の死守ばかりに眼を

奪われて、1年後には実現することになる国民党政権による中国統

一を見越した政策転換には踏み切れなかったのであった。

(206p)

   

政治の難しさだと思います。

ここでの判断が、後の時代から見て「なぜ国民党政権による統一を

予想できなかったのだ」と言われてしまいます。

日本は道を誤りました。

  

 反米感情は、米国が1924年に日系人を差別する移民法を制定

して以来、急上昇していたが、その後は対米貿易の重要性などの認

識が広まり、比較的沈静化していた。しかし、1920年代末にな

ると、米国が中国の国権回復運動に応じて、不平等条約改正に踏み

切り、満蒙の利権に固執する日本をしばしば批判するようになると、

反中感情が反米感情に連動するようになった。その典型が、池崎忠

孝が1929年9月に出した『米国怖るるに足らず』という本がベ

ストセラーになったことであった。

(252p) 

 この本では、日米戦争は、日露戦争のような二国間戦争で戦われ

ると想定され、戦闘で優勢になったところで有利な条件で講和を結

ぶという想定になっていた。しかし、実際の日米戦争は、連合国対

枢軸国の総力戦として展開され、日本は「無条件降伏」を余儀なく

されたのである。つまり、池崎は、総力戦下の世界戦争時代の到来

に無自覚であった。

(253p) 

  

教訓にすべきだと思います。

過去に誤った日本は、再び戦争をしないためにはどう動くべきか。

この本を読んで、戦争は避けられた可能性があることを知って、

そう思うようになりました。

  

  

以上で、「避けられた戦争 1920年代・日本の選択」

からの引用を終えます。

この本を読んだら、以前に録画して見てない番組を

見たくなりました。

2011年放映の「NHKスペシャル」の

「日本人はなぜ戦争へと向かったか」です。

3回に分けて放送されました。

今の知識なら、この番組が理解出来そうです。

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