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2020年8月23日 (日)

「愛着障害とは何か」② 「世の中には信用していい大人がたくさんいるんだ」

  

今日は令和2年8月23日。

  

前記事に引き続き、

「愛着障害とは何か 親と子のこころのつながりから考える」

(宮本信也著/神奈川LD協会)より。

  

前記事で「愛着」の定義について書きました。

  

次のものは「愛着」ではないそうです。

  

 親密な対人関係以外では愛着という言葉は使いません。ときには、

子どもと保護者以外の大人、大人と大人との関係性において愛着が

述べられることがありますが、そこには多少の無理が生じます。た

とえば虐待を受けた子どもが施設に行って、施設の職員が愛着の対

象になり得るかというと、それには無理があります。

 子どもたちを支援する側の大人が、愛着の対象になるというよう

な誤解をしてはいけません。支援する側の大人と子どもの関係性は、

どこかで切れることになります。ですから、逆にある種の距離感を

持つことがとても大事なのです。

 学校の先生方がこの問題に巻き込まれるケースはとても多いよう

です。虐待を受けていても、そのまま家庭にいて学校に通っている

子がほとんどです。たとえば性的虐待を受けた子どもから、養護教

諭や担任の先生がそのことを打ち明けられると、先生たちの気持ち

は揺さぶられます。何とかしてあげなくてはという思いに駆られま

す。でも、最後は対処しきれなくなって、結果的にその子から距離

を置くことになってしまい、その子は二度目の心のトラウマを受け

ます。先生方には、そのことに気をつけていただきたいと思います。

親子関係のような親密な関係性以外で愛着という概念を用いること

は、必ずしも適切ではないのです。

(23~24p)

  

教師として何とかしてあげなくてはと思うと思います。

でもいずれは関係が切れるときがあり、

それがトラウマになってしまうという内容。

教師はどうすればいいのか?

どうやって距離をとるの?

そんな疑問を持ちました。

その回答が、もう少し後ろのページに書いてありました。

  

 

 負の連鎖を断ち切るための経験としてあげられるのが、虐待を受

けた人が成長の課程のどこかで、信じられる大人と出会っているか

ということです。これはとても重要なことです。

 親以外の大人は愛着対象にはならないし、愛着形成の代わりも務

められませんが「大人ってみんな悪い人ばかりではない、信頼でき

る大人もいるんだ」と思えるような人と出会い、人間が信じられる

ようになることで、虐待経験者は負の連鎖から抜け出せることが多

いといえるでしょう。

 学校現場でも、先生自身が虐待を受けている子どもの愛着対象に

なる必要はありませんし、元々それは無理なことなのですが「世の

中には信用していい大人がたくさんいるんだ」と、子どもに実感さ

せてあげることができるはずですし、それが教師の役割であるとも

いえます。ぜひ、そういう存在になれるように力を注いでもらいた

いのです。

 同年代の友人ではその役割を果たせません。なぜなら、大人から

ひどい目にずっとあわされてきたわけですから、そのような大人ば

かりではないということを証明できるのは大人しかないのです。被

虐待児と出会ったときの教育現場における教師の役割として、この

ような存在の大人となることがとても重要です。

(34~35p)

  

 

わかりやすい。

子どもには誠意をもって接することを続けます。

それが教師にできること。

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