「世界」(2020年5月号)⑥ アフガニスタンの現状
今日は令和2年4月26日。
前記事に引き続いて、
「世界」2020年5月号(岩波書店)より引用していきます。
昨年12月4日に中村哲さんの訃報を聞いてから、
アフガニスタンへの関心が高まっています。
「世界」5月号にも、NHK報道局国際部副部長の宮内篤志さんが、
アフガニスタンの様子を伝える記事を書いています。
一部引用します。
タリバンの活動資金は日本円で年間450億円程度とみられてい
るが、その半分がアヘン関連と指摘される。こうした潤沢な資金で
武器を購入し、戦闘能力を高めるーーなかには軍事用の暗視ゴーグ
ルを購入することで、夜間の急襲能力を強化しているという情報も
ある。実際、タリバンは政府の治安部隊に対する夜襲を得意として
おり、専門の特殊部隊「レッド・ユニット」も発足させている。
ちなみにアヘン生産の増加した原因の一つが、中国製太陽光パネ
ルの急速な普及だ。インフラの脆弱(ぜいじゃく)なアフガニスタ
ンでは長年、電力の確保が課題となってきたが、ここ数年、安価な
中国製パネルが市場に出回り、各家庭に普及し始めている。私たち
がジャララバラード市内の電気店を取材した時も店頭のパネルはす
べて中国製だった。農家は電動ポンプを稼働して地下水をくみ上げ、
作物に水をやる。もちろん野菜や果物などの場合もあるが、アヘン
のほうがはるかに買い取り価格も高く、手っ取り早い現金収入の手
段として魅力的なのだ。
中国製の太陽光パネルをめぐっては、かつて、ダンピングだとし
てEUが暫定的に制裁関税をかけるなど経済摩擦となっていた(2
013年に和解)。中国国内での生産に歯止めがかからないなか、
価格が下がった中国製パネルがアフガニスタンにまで流入し、アヘ
ンの生産を加速させていたのである。
(130~131p)
「ダンピング」の意味がわからず。調べました。
※コトバンクより☟
「外国市場を確保するため、国内価格よりも低い価格で
商品を外国へ販売すること。」
太陽光パネルを製作販売した人たちは、
そのパネルが、アフガニスタンでアヘンの生産を加速させるなんて
予想もしなかったことでしょう。
でも電力のなかった地域に、電力をもたらしたことで、
恩恵を受けていることは多いわけです。
世の中、どのような展開になるか、なかなか見当がつきません。
駐日アフガニスタン・イスラム共和国特命全権大使の
バシール・モハバットさんも、
アフガニスタンの現状を伝えています。
一部引用します。
現在のアフガニスタンは、国家としての歴史はまだ18年。民主
主義という点でも未熟なところはあります。しかし、タリバン政権
時は70万人程度の子ども、しかも男の子しか学校に通えませんで
したが、いまは女の子も含め1000万人近くが学校に通っていま
す。そしてインフラが整備され、生活環境は改善されています。ア
フガニスタンにとって世界第2位の支援国である日本の援助が非常
に大きいのです。ニュースは悲惨な事件に偏りがちですが、日本国
の税金が活きていることも、この機にぜひお伝えしたいです。
(139p)
日本に伝わってくるニュースは、中村哲さんが殺されたことや、
アメリカとタリバンは交渉しているが、アフガニスタン政府は
蚊帳の外だったとか、旱魃・洪水など自然災害が多いなど、
大丈夫なのかと思うようなことを伝えてきます。
バシール・モハバットさんの発言は、ホッとさせてくれます。
以上で、「世界」2020年5月号からの引用を終えます。
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