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2020年3月 7日 (土)

「人はなぜ・・・許せないのか」④ 日本人とフランス人の違い

今日は令和2年3月7日。

  

 

前記事に引き続き、

「人は、なぜ他人を許せないのか?」(中野信子著/

岩波新書)より引用していきます。

  

シンプルに表現すれば、日本では「みんなに合わせられないこ

と」「みんなと違う言動をする」が、愚かと考えられがちなの

に対して、フランスでは、「みんなと同じこと」や「意見を言

わないこと」が愚かと考えられやすかったので。つまらない人

と思われてしまう、と言い換えてもいいでしょう。

(45p)

  

フランス人はそうなんですね。

  

  

誤解を恐れずに言えば、日本人は摩擦を恐れるあまり自分の主

張を控え、集団の和を乱すことを極力回避する傾向の強い人た

ちだと感じます。これをあえて自省的に弱点として考える視点

で見れば、日本は「優秀な愚か者」の国ということになるでし

ょう。

(47p)

  

現代の日本に代表されるような安定した社会で優秀と評価され

る人は、これもまた自省的にあえて強めの言い方をすれば、「

何も考えずにいられる人」かもしれません。集団のルールを守

り、前例を踏襲し、集団の上位にいる人の教えや命令に忠実に

従う、従順な人が重用される傾向は否めません。これは政府や

企業に限らず、最高学府であるはずの大学でさえ例外ではあり

ません。

(48p)  

  

なぜ日本人はこうなっているのかを追究しています。☟

  

結局のところ、日本で個人主義的な強い集団よりも集団主義的

要素が強い集団が生き延びやすかったのは、災害の多さという

地理的要因が大いに影響しているのではないかと考えられます。

(56p)

  

日本においては集団として生き延びる方が有利であることが、

長期間かけて練られてきた戦略として遺伝的に根付いています

し、集団内での争いを最小化することが長期的には最適だとい

う事情があるからです。ただし、その負担の側面として、異質

なものを冷遇し、集団内に置いておけなくなった人間を排除す

る現象、あるいは、他の集団に対する攻撃性が出てしまいやす

いということは、知っておかなくてはなりません。

(60~61p)

  

   

「他の集団に対する攻撃性」について次のような実験が

紹介されました。

  

1954年に、ムザファ・シェリフとキャロリン・シェリフ夫

妻が行った実験です。ロバーズ・ケープ州立公園で行われたキ

ャンプにおける研究で、泥棒洞窟(ロバーズ・ケープ)実験と

いう名で知られているものです。

被験者となったのは、白人・アングロサクソン、プロテスタン

トの中産階級出身の10~11歳の22人の少年たち。彼らを

2つの集団に分け、それぞれキャンプを張ってもらいます。そ

の上で偶然を装い出会わせます。二つの集団の間には、スポー

ツなどで競争心が生じるような状況を仕向けます。例えば、競

争に勝ったグループは商品を獲得できるなどという設定をする

のです。すると、双方の集団間にはいとも簡単に対立感情が生

まれ、激しく争うようになっていきます。さらに相手集団の旗

を燃やしたり、殴り合いに発展したり、相手のキャビンに夜襲

をかけて盗みを働いたり、一緒に食事をする食堂で残飯を投げ

合ったりするなど荒れ放題の状況が生じました。

(中略)

見た目に大きな違いがなくとも、人種も宗教も年代も性別も同

じ集団同士でも、きっかけさえあれば容易に境界線が引かれて

しまうのです。

(132~133p)

  

小中学校でいろいろな場面で行われる学級対抗は、

人間の脳で考えると、自然と対抗する気持ちになり、

過剰になると憎しみの感情まで表出してしまいます。

世の中が集団重視ではなく、個々を重視する傾向に移っています。

今までの学級対抗が本当に必要なのか、

考えていかねばと思います。

  

 

集団重視ではなくなってきたことを書いた文章です。☟

 

私や多くの読者のみなさんが幼かった頃よりは、現在の日本社

会の方がより個人主義的であり、空気を読まず、仮に集団から

孤立しても許容されるようになってきたという印象はあります。

その背景として考えられるのは、やはり日本が先進国として成

熟し、インフラも整って、日々の食べるもの、寝るところ、つ

まり衣食住にあくせくするような状況ではなくなったことが大

きいのではないでしょうか。少なくとも都市部では、集団内の

誰かを気にして、気遣いをしていかなければ社会のリソースの

恩恵を享受できない、という時代ではなくなりました。

この状況に適応した世代の人々が、かつての「集団重視が当た

り前」とされてきた世代の人々から、「今の若者は劣化した」

などと否定的に捉えられてしまうのは、少し気の毒でもありま

す。むしろ、彼らのような若い世代こそが、今の日本の閉塞感

を破ってくれるかもしれませんし、今後日本に起こり得る変化

に対して、対応の幅を広げてくれる可能性を持っているかもし

れないからです。

(66~67p)

  

集団重視と個々重視の発想による教育が混じる

教育現場になっていくのではないかと思うのです。

特に特別支援学級での教室での授業は、

個々重視でいいと思います。

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