「バナの戦争」② 来る日も来る日も、爆弾、爆弾、爆弾
今日は令和2年2月3日。
前記事に引き続き
「バナの戦争」(バナ・アベド著/金井真弓訳/飛鳥新社)
より引用します。
この本は、バナとお母さんの共同執筆です。
【バナのお母さん】
バナ、知っていた?アレッポは世界でももっとも古くから人が
住んでいた街のひとつなの。何千年ものあいだ、私が歩いてい
るのとまさに同じ場所を歩いてきたまさに同じ場所を歩いてき
た先祖たちとのつながりを感じると、気持ちが安らいだ。
アレッポ城にはいつも家族連れの恋人たちがたくさんいて、そ
の日も早春の一日を楽しんでいる人々でいっぱいだった。ごく
ありふれた、平和な毎日ーーー戦争が起こる前はそうだったの。
パパは仕事に行き、私は買い物をしてアベドおばあちゃんが料
理するのを手伝う。そして、夕食後は家族みんなで近所を散歩
したものよ。
今ではとても考えられない日々だけど、私たちはそんな毎日が
続くのがあたりまえだと思っていた。自分たちが歩いている場
所が、何世紀もそこにあった建物が、まもなく何もかも壊され
てしまうなんて、想像すらできなかった。
(13~14p)
舞台はアレッポ。歴史を感じることが出来た街に爆弾が落ちます。
【バナのお母さん】
あなたの名前はアラビア語で「木」という意味よ。強い女の子
になってほしかったから選んだんだけど、バナ、あなたはその
とおりの女の子ね。
(16~17p)
【バナ】
そのときから来る日も来る日も、爆弾、爆弾、爆弾。大きな飛
行機がいくつも空を横切ってきて、あっちにもこっちにも、ど
こにでも爆弾を落とした。飛行機がうんと低く飛んでいて、パ
イロットの顔が見えることもあった。
あの人は知っていたのかな?
自分が人を傷つけ、殺してるんだっていうことを。絶対知って
た。でも、どうしてそんなことできるの?
(36p)
【バナ】
戦争を経験したことがない人は、爆弾にはひとつの種類しかな
いと思うかもしれない。でも、実際にはいろいろちがった爆弾
があるの。わたしは覚えが早いから、すぐわかるようになっち
ゃった。
どんな音がするかで、種類がわかる。
笛みたいに長くて甲高い音がして、大きくドカーンと鳴る爆弾。
車のエンジンがふかされるみたいな、ブーンブーンという音が
してから、ドカンと鳴る爆弾。
それから、落ちてくる間じゅう、バッ、バッ、バッと音がして
いる爆弾。これはクラスター爆弾(たる爆弾)で、小さな弾が
いっぱい入った大きな爆弾。地面にあたると、するどい破片が
一面に飛び散るの。
静かな爆弾もある。ほとんど何の音もしなうて、ドカーンと鳴
ったら空を明るい黄色に照らす爆弾。空を明るくする光はリン
と呼ばれるものよ。
(38~39p)
以前読んだ「シリア内戦」にも何度かでてきたたる爆弾。(樽爆弾)
※参考:ここでも道草 「シリア内戦」① 物理的な達成感も味わった本(2020年1月19日投稿)
動画がありました。
一つの爆弾から広範囲に小さな弾が飛び散って爆発する様が
見てとれます。
YouTube: クラスター爆弾を投下するロシア軍 着弾映像 シリア空爆
そしてリンが光る爆弾。白リン弾。
Wikipediaによると、白リン弾は照明効果、焼夷効果があるそうです。
次の動画を見ると、落下した街では延焼が起こっています。
バナは、爆弾の種類を覚えてしまうように、
普通の子どもがしないような体験を数多く体験します。
つづく
コメント