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2020年1月 8日 (水)

「本を読む人だけ」② ネットだけの情報では底の浅い思考しかできない

  

今日は令和2年1月8日。

  

昨日の記事の続きで、

本を読む人だけが手にするもの

(藤原和博著/日本実業出版社)より引用していきます。

  

ヨーロッパを中心に成熟社会を迎えた先輩諸国がやったのは、

国家として宗教を発動し、バラバラになっていく個人を再び紡

ぐことだった。日本のように企業がその役割を担うのではなく、

宗教界が教会というネットワークで紡いでいったのだ。

ややこしいのは、日本は太平洋戦争の影響で、このように、国

家が宗教を発動できなくなったことだ。

宗教の未整備によって、特に若い人たちが浮遊している。では、

宗教の代わりに彼らをつなぎとめているものは何か。

それが日本の若者が異常にのめり込んでいる携帯メールである。

突出してメール文化が盛んになったのh、宗教の代替機能とし

て、つながったような気になるという側面が大きかったと私は

みている。

(25p)

  

  

これから先の日本では、身分や権力やお金による”階級社会”で

はなく、「本を読む習慣のある人」と「本を読む習慣のない人」

に二分される”階層社会”がやってくるだろうと私はみている。

(27p)

  

  

あらためて思うのは、読書を通じて知識のインプットを蓄積し

ていかないと、自分の意見というものが出てこないという事実

だ。(中略)私もネットだけの情報では底の浅い思考しかでき

ないという意見に賛成だ。深く論理的な思考をするうえで、本

は絶対に欠かせないものだと思う。

(31p)

  

  

パチンコをする人と、しない人の決定的な違いは、時間をマネ

ジメントする発想があるかないかである。パチンコは非生産的

な行為だ。平気で非生産的な行為に時間を浪費する人に、時間

に対するマネジメント能力があるとは思えない。

(34p)

  

  

その次の段階は「ケータイゲームをするか、しないか」だ。

これもパチンコと同様、時間のある時に息抜きで遊ぶぐらいで

あれば問題ない。しかし毎日のように、電車だろうが家だろう

が四六時中やっているような人は、ケータイゲーム依存症か、

その予備軍と言ってもいい。

これも、時間に対するマネジメントの問題だ。

(35p)

  

   

ここであらためて言いたいのは、21世紀型の成熟社会では教

養が大事になるということ。その教養は、読書することなしに

得られるものではない。そして何より重要なのは、パチンコを

せず、ケータイゲームにはまらず、読書するだけで「8人に1

人の希少(レア)な人材になれる」ということなのだ。

(36p)

 

  

本を読むか読まないかで、報酬の優劣は決まってくる。本を読

むことで限りなくエキスパートの報酬水準に近づいていくか、

本を読まずに限りなくフリーターの報酬水準に近づいていくか

という分かれ道だ。

(39p)

  

  

人間にとって最も強烈なインパクトを与えるのは、「個人的で

リアルな体験」だろう。残りの人生30万時間のうち、この象

限にどれだけの時間を割りあてられるか。それが、体験から得

られる学習の質を決めるといっても過言ではない。

反対に、「リアルな体験」とはいえ、「組織的な体験」に分類

される学校や会社、家族からのインプットについては、どうし

ても受動的な要素が強くなる。学校や会社は強力なシステム構

造を持った組織なので、個人は否応なく影響を受ける。

また、現代に生きる私たちにとって、「メディアを通じた体験」

から逃れることはかなり難しい。とくに「組織的な体験」とし

てのテレビ、新聞を中心としたマスメディアや広告キャンペー

ンの影響を受けやすい。

こうした「組織的な体験」の時間が多くなると、人はどのよう

な思考回路になっていくのだろうか。

(44p)

Epson207 (45p)

  

  

著者はすぐに答えを出している。「多面的に思考したり

することが難しくなる」「複眼思考するクセがつかない」

と述べている上で、次のように書いています。

  

世の中に流布する情報を無条件に受け入れ、それがあたかも唯

一の正解のように思い込んでしまう。これは危険な兆候だ。

21世紀型の成熟社会を生き抜くには、「上手に疑う技術」が

必要になる。だから、情報に踊らされないためには、「個人的

な体験」をする機会をできるだけ多く持つしかない。しかも、

「リアルな体験」に越したことはない。

だが、さきほどみたように、人の一生の時間には限りがある。

望むことすべてを体験することは不可能だ。そのようななか、

本は、著者を通して「個人的でリアルな体験」を味わうことが

できる手段なのである。

(46p)

  

つづく

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