「本を読む人だけ」③ 自分のポジショニングや世界観を決めるために読書
今日は令和2年1月8日。
前記事に引き続き、
「本を読む人だけが手にするもの」
(藤原和博著/日本実業出版社)より引用していきます。
テレビ画面からは次から次と新たな情報が送られてくるため、
脳に入ってくる情報の意味を理解することで手いっぱいになる。
表層を理解することにとどまるのだ。
(48p)
テレビの残念なところを述べています。
テレビで教材研究してきたけど、
確かにそうだと思いあたることがあります。
そんなことはないとは言えません。
こうしたテレビの特徴をとらえて、カナダ出身のメディア学者
マーシャル・マクルーハンは「クールメディア」と呼んだ。
私たちが日常生活のなかで受け取る情報量の7割以上は、視覚
からの情報だという研究結果がある。テレビが視覚に訴えて現
実に近いものをみせてあげれば、視聴者はクールに納得しやす
いということである。
これに対して、ラジオは声と音しか聴こえないメディアだ。限
られた情報しか与えられなので、リスナーは想像力を大いにか
き立てられる。それとともに感情が刺激され、どんどんホット
になっていく。そのためマクルーハンはラジオを「ホッとメデ
ィア」と呼んだ。
こうしてみると、読書はラジオと同様に、言葉を頼りに想像力
をかき立てるメディアであるといえよう。なおかつ、読書は、
受動的にインプットするラジオとは異なり、能動的に情報を取
りにいかなければならない。「アクティブ・ラーニング(主体
的な学習)」に適したメディアなのだ。
(52p)
自分のやりたいことを実現させるうえで大切な、読書によって
身につく力がある。それは「集中力」と「バランス感覚」だ。
(53p)
バランス感覚とは、自分と地面(地球)、
自分と家族、自分と
他者など、世の中全体と自分との適切な距離感を保つことがで
きる能力のことである。
(55p)
スマホを持たせ、こども達がLINEなどをやることで・・・・
結果的に、ちょっと仲よくなると必要以上にベタベタした関係
に陥ったり、反対に、少しでも何かあると絶縁状態になったり
する。ゼロか100、白か黒、〇か×。微妙な「間」やグレー
な「距離感」というあいまいな状態がなくなり、極端な二者択
一の人間関係しか成り立たなくなる。
(57p)
バランス感覚は、それ以降の世代(10歳以後)では、読書を
することで獲得することは可能だ。読書は、世界観を広げるこ
とに役立つ。読書をすることで他人が体験したり調べたりした
知識を獲得することが可能になり、自分の内なる世界観の拡大
に結びつく。
世界観が広がれば、さまざまな視点で物事や他人を見ることが
できるようになる。多様な視点を持つことは、バランス感覚を
磨くとともに、人格的な包容力や寛容の基礎にもなるだろう。
(57~58p)
自殺や赤ちゃんポストに限らず、原子力発電所の是非や自衛隊
の役割など、世の中はそう簡単に決められない問題ばかりだ。
是が非か、正しいか正しくないかなど、両極端の意見から考え
て自分のポジショニングや世界観を決める必要があるはずだ。
そうした両極端の視点を獲得するには、本を読み比べることが
肝要だ。
しかし、本を読んでいない人は、その場で起こった問題に対す
る報道に右往左往するばかりで、視野狭窄(きょうさく)に陥
り、複眼的な視点を持つことなく安易な判断をしてしまうかも
しれない。上っ面を舐めただけで、底の浅いものになってしま
う危険性もある。
読書をすることで、人生という軸と世界観を鳥瞰図のように持
つことができれば、論理的な議論と判断ができるようになるだ
ろう。
(61~62p)
つづく
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