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2019年12月26日 (木)

「医者、用水路を拓く」⑤ 石の扱いはアフガン農民にとって日常 

 

 今日は令和元年12月26日。

  

前記事に引き続き、

医者、用水路を拓く アフガンの大地から

世界の虚構に挑む」(中村哲著/石風社)より引用します。

  

私たちの狙いは当たった。特に、柳枝工との組み合わせは、個

人的な趣味以上の効用があった。「風情」もバカにならない。

現地に多いコリヤナギは、繁殖力が旺盛で、1年に2メートル

成長、蛇籠の背面から水路底に細い根を無数に張り出した。蛇

籠の石の隙間に侵入して「生きた網」となり、石をしっかり支

えた。浚渫時に水路を乾かすと、まるで絨毯を敷き詰めたよう

に毛根が水路底を覆っている様子が観察された。

(139p)

  

ニュースで見た、中村哲さんが指揮して造った用水路の脇に

並んでいた木々は、柳だったのですね。

  

  

石材は現場でタダに近いほど豊富である上、職業的な石工は

要らなかった。作業員である近隣農民は、全て有能な石工な

のだ。石の扱いはアフガン農民にとって日常で、家屋の土台、

家や畑の隔壁、石を使ったクリークの開閉、棚田の石垣など

は全て自分の手で作る。石の模様を巧みに見て場所を定め、

大きなハンマーで打ち下ろして見事に割る。割れた平たい面

を大小組み合わせ、実に美しい石垣に仕上げる。

石組み作業は、巧(たく)まずして農村生活に根づいた一つ

の文化である。

(147p)

 

アフガニスタン人らしさが知れてうれしい文章でした。

  

  

今、国際支援の全体的な色調を眺めるとき、途上国の立場より

も先進国が支援内容の是非善悪を決めてしまう傾向が強くなっ

てきた気がしてならない。私たちに確乎(かっこ)とした援助

哲学があるわけではないが、唯一の譲れぬ一線は、「現地の人

々の立場に立ち、現地の文化や価値観を尊重し、現地のために

働くこと」である。言葉に出せば大仰であるが、己の利を顧み

ず、為にするところがない無償の行為は昔からあった「ボラン

ティア」という新語に私はなじめなかった。私たちが「ボラン

ティア」ではなく、「現地ワーカー」と呼ぶのはこのためであ

る。

(179p)

「現地」「現場」は大事な言葉だと思います。

  

  

恐ろしいことに、地下水さえもが涸れつつあることは、過去6

年間の井戸の水位下降、カレーズの水の激減で明らかであった。

かつて至る所で見られた山村の水車小屋は、姿を消していた。

おそらく、アフガニスタン中で起きた変化であろう。地球温暖

化!それまで何度も聞いた言葉だったが、ここまで深刻な影響

が出ているとは、実感が湧かなかったのである。

(203p)

  

この本が扱っている19年前から、中村哲さんは、敵は「温暖

化」と認識して闘っていたわけです。

私はやっと温暖化の勉強を始めました。

  

  

つづく

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