樹木の入ったお名前「柳」
今日は令和元年8月2日。
前投稿に引き続き、7月11日放映の
「ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!
【樹木のおなまえ】」より。
「柳」は番組の写真・聞き書きを使って読み物化します。
レポーターの柳沢慎吾さんがやってきたのは、
地元愛知県の岡崎市の矢作川。
教えてくれる先生が、この方。☟
「河川と植物に詳しい山田先生」と番組では紹介されました。
ヤナギはどこにあるのかという柳沢さんの問いに、
山田さんは河川敷にあるある木を指して、
「これ全部ヤナギなんです」と言います。
ヤナギにも何種類かありますが、
一番多いのはカワヤナギという種類だそうです。
細くてあまり大きくならないヤナギだそうです。
ヤナギは「人の命を守ってきた」と言われているそうです。
なぜそうなのか?
山田先生の説明が始まります。
山田:川っていうところはね、特に日本の川は、
一気に増水しますよね。
人は生活を守るために土を盛った「堤」で、
水に対抗するんですけど、
増水でその土がみんな持っていかれてしまうんです。
それをヤナギが止めてくれるのです。
ナレーター:昔から日本人は川の氾濫から集落を守ろうと、
堤を築いてきました。そこにヤナギを植えると、
洪水でも堤の土が流されないというのです。
そのわけは、あることをすればわかると言います。
そのあることとは?
山田先生が、足元にあるカワヤナギの幼木を抜いてみて下さいと
柳沢さんに提案しました。
力いっぱい引き抜こうとする柳沢さん。
でも抜けません。
山田:何してるんですか?さっさと抜いてくださいよ。
柳沢:本気で抜いちゃっていいんですか?
知りませんよ。責任取ってもらうよ。
でも抜けませんでした。
山田:これだけしっかり地面に根付いているんです。
柳沢:へえ~。
ナレーター:引っ張ても抜けないわけがこちら。
マツなどの多くの植物が、根を下に伸ばすのに対し、
ヤナギは地表近くでひげ上の大量の根を広げて、
ガッチリと土をつかみます。
さらにヤナギは、水の中でも根が育つ珍しい植物。
だから、川の水が増えても、土を抑え、
堤を守ってくれるのです。
このヤナギの力は注目され、武将武田信玄が造った
あの信玄堤にもヤナギが(使われていました)。
そして、江戸幕府は堤にヤナギを植えることを、
法令で定めたほど。
そう、名字によく使われる柳は、
自然界のコンクリートだったのです。
山田:自然物で荒れ狂う自然を抑える。
自然を使って自然を制するという、
そういう考え方が、日本にはあるんですね。
ナレーター:矢作川の堤防では、ヤナギの力を使った
伝統的な工法が、昭和20年代から試されてきました。
その工事に携わってきた技術者の菊池さんに伺うと・・・
山田:このヤナギを使った工法を何と言うんですか?
菊池:柳枝工(りゅうしこう)と言います。
ナレーター:柳枝工とは、江戸時代以前からある工法。
木の枝で編んだ枠に、石を敷き詰め、
その隙間にヤナギの枝を打ち込むのです。
打ち込んだヤナギの枝から出た大量の根っこが、
土や石を抱き込み、堤防を頑丈に固めてくれるのです。
菊池:土台があって、川を守ってくれる。
命を守ってくれる。皆さんの。
山田:菊池さんが造った堤は、実際の増水とかどうですか?
菊池:知っている限りでは、決壊はないです。
ナレーター:工事を終えて以降、矢作川は、
昭和34年の伊勢湾台風や、平成12年の東海豪雨など、
大きな災害に見舞われてきましたが、
ヤナギで固めた堤防は、決壊することはありませんでした。
菊池:(柳は)命を守る木であってね、
幸せを運ぶ木であってね、もまれても、
何の苦もなく育っていく。幸せな名字だね。
柳沢:ありがとうございます。(菊池さん、山田先生と握手)
ここで場面はスタジオになります。
アナウンサー:名字自体に、ヤナギが水に強いということが
込められています。
確かに水に関係する漢字が、柳と組み合わされています。
矢作川は同じ県内であるため、
その気になれば日帰りで観察することができます。
具体的にどこに行けば、柳枝工の堤防が顕著にわかるか調べて
出向きたいと思いました。
以上で、「ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!
【樹木のおなまえ】」の読み物化は完了です。
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