ハッブルのこと その2/「ハッブル伝説」の支配力・リック天文台
今日は1月23日。
ぶ厚い本ですが、昨日だいぶ読み進められた本が、
「膨張宇宙の発見~ハッブルの影に消えた天文学者たち~」
(マーシャ・バトゥーシャク著/地人書館)です。
421ページ中、現時点で200ページ読破。
面白い本なので、今日中に読めてしまうのではないか?
この本の趣旨にあたるような文章が、
序章に書いてありました。
引用します。
1929年、ハッブルはさらに驚くべき発見をした。
ハッブルとその同僚ミルトン・ヒューメーソンは、宇宙は膨張し、
それに伴い、外に向かって銀河が膨張の波に乗り続けていることを
証明する端緒となる重大な証拠を手に入れたのである。
時空は動いていたのだ!
実際は、この驚くべき結論に到達する研究の半分は、
10年前、ローウェル天文台の天文学者ヴェスト・スライファーによって、
アリゾナ州の山の頂上で行われていた。
しかし、この発見に到達するスライファーの決定的役割は、
今では学問外の世界ではほとんど忘れ去られている。
これが「ハッブル伝説」の支配力であり、
歳月がたつにつれ他の人々の貢献を影に追いやってしまったのである。
宇宙の本当の姿を明らかにすることに貢献し、
ハッブルの成功の礎となった登場人物たち全員に、
本書はもう一度余すことなくスポットライトを当てるつもりである。(20p)
「ハッブル伝説」の支配力。
この言葉が印象に残りました。
ハッブルに夢中になればなるほど、他の人が霞むのでしょう。
そうではないんだという内容の本のようです。
実際この本を200ページ読んだ段階で、まだハッブルは出てきません。
ハッブル登場前の天文台建設や天文学研究が語られています。
ハッブルの発見の礎となったことが、じっくり語られています。
富豪のジェームズ・リックは、天文学者に説得されて、
天文台建設に出資することを決めました。
最初は街中に天文台を建てることを考えましたが、
高い山の頂に建てる利点を言われて、標高3000mの場所に作ろうとします。
しかし結局、リックが住む街から見上げれば見られる1300mのハミルトン山に
建設されることになりました。
しかし、リックは1876年に亡くなります。
建設はその直後にスタート。1887年に完成しています。
天文台付近には、観測員たちの家族が住む町がつくられ、
「小さな科学の共和国」と名づけられました。
望遠鏡の台座に亡骸が納められたことについては、次のように書いてありました。
リックはこの新共和国の守護神になった。
というのも、天文学への高潔な贈り物とともに彼のわがままは死後も
決して完全には消えなかったからである。
1887年1月、望遠鏡の基礎が完成するとすぐ、
リックの遺体は山に運び上げられもう一度埋葬された。
その亡骸は、彼が出資した巨大屈折望遠鏡を支える土台の真下に眠っている。
旅行者のグループは今日でもその墓を訪れる。(39p)
そのリック天文台に雇われたジェームズ・キーラーが、
後に重要な天文学の研究をします。
功名心からの天文台建設の出資だったかもしれませんが、
リック天文台は天文学に貢献したのです。
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