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2016年8月11日 (木)

「きのこ雲の下で何が起きていたのか」その5/坪井直さんの証言

  

今日は8月11日。

  

前投稿に引き続き、昨年の8月6日放映の

「NHKスペシャル きのこ雲の下で何が起きていたのか」

の聞き書きをしていきます。

  

写真に写っている人たちが何をしているかという視点で

話が進みます。

  

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ナレーター:この人は、草履を脱ぎ、足に何かを塗っています。

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  足元には、四角い箱のようなものが転がっています。

  少し離れた場所で、見ていた人がいました。

  この男性↓が、今も健在でした。

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  坪井直さん。90歳。

  人々は、やけどを負った体に、油を塗っていたのだと言います。

  坪井さんも、塗る順番を待っていました。

  足元に転がっていたのは、食用油の缶でした。

  やけどの応急処置に使うよう指導されていました。

  

坪井さん: 菜種油を持ってきたんですよ。

  食用油ならいいの、それで。

  ところが一人ずつ丁寧にできゃあせえわな。

  みんながぶいぶいぶいっと、どうでもいいやっと、

  手をつっこんだりする。すぐなくなる。

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ナレーター:坪井さんは当時20歳(はたち)。

  広島工業専門学校の学生。

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  将来、エンジニアになって、人の役に立ちたいと考えていました。

  被爆したのは、爆心地から1.2㎞の屋外。

  2人に1人が当日亡くなった距離です。

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  熱線で背中や顔に大やけどを負いました。

  耳の半分がちぎれました。

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  周りには、助けを求めながら炎にのまれる人、

  目玉が飛び出たまま歩く人。

  坪井さんは、治療してもらえる場所を探してさまよいます。

  3時間かけて、ようやくたどり着いたのが、御幸橋でした。

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  瀕死の状態で橋のたもとにたどり着いた時、

  周りを見て、死を意識したと言います。

   

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  (坪井さんの)目の前でうずくまる若い女性。

  裸の上半身は、 焼けただれていました。

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  人々の奥に見える足。

  油を塗る気力もなく、横たわったまま

  亡くなっていく人の姿だと言います。

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  その周りにも倒れた人が何人もいました。

   

坪井さん:もうどうしようもない。

  死ぬ者は死ぬというような状況。

  まあ、死の前のような雰囲気。

  

ナレーター:坪井さんが見た光景を、

  取材でわかった人々の声とともに、再現します。

  

前投稿と同じように、映像を見てください↓

(24:30過ぎからスタートです)

  

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これまた強烈な映像です。

黒い人影だったものが、白黒ではありますが、

さっと人間の姿になる瞬間はドキッとします。

そして動き出す。でもほとんど動けない。

動けないことが、その人の命が消えそうになっていることを

表現していました。

  

聞き書きに戻ります。

  

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ナレーター:坪井さんは手元にあった石で、 

  「坪井はここに死す」と地面に書きました。

坪井さん:俺は20歳でもう終わりかあ。

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  それは寂しかった。

  最後にね、もう誰も助けてもらえないと思っているんだから。

  「ここで死ぬ」と書いたんだからね。

  寂しいというか情けないというか・・・

  

ナレーター:人々が瀕死の状態でたどり着いた御幸橋。

  ここは生と死の境界となっていたのです。

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坪井さんは、オバマ大統領が広島で演説した時に、

その場にいました。

そしてオバマ大統領とも言葉を交わしていました。

ここでも道草 オバマ大統領と「核なき世界」(2016年6月20日投稿)

  

まだつづきはありますが、次の投稿から別のネタで書きます。

明日までこのネタはお休み。 

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