「絵本で育てる情報力」より 絵の分析→言語化
今日は8月11日
本「絵本で育てる情報分析力」(三森ゆりか著/一声社)より
絵本は、子供の豊かな感受性と想像力を育み、
子供の言語能力を向上させると言われています。
ところで絵本にはもう一つ偉大な力が潜んでいます。
それは、大人の社会で必要な観察力、論理的思考に基づく情報の分析力、
適正な推論に基づく予測能力、批判的思考力などを
子供の中から引き出すのを助ける力です。(18p)
たった一枚の絵を叡智の限りを尽くして分析し、
それを言葉という抽象概念に置き換えて表現することに非常な喜びを見出すのが、
この時期の子供です。(※学齢期までの子供)
絵本を用いて子供と話しながら、自然に楽しく「絵の分析」をするときに、
大人が子供に「絵の分析」をするための指標を与えます。
絵を分析する際に子供に指標を与えると、
子供の中に絵を見るための回路ができます。(23p)
絵の分析のための指標
テーマ(主題)、設定(場所・季節・天気・時間・時代背景)、人物(描かれている物・
人物等の考え・感情・会話など)、象徴、色調、色彩、タッチ、構造
(中略)一枚の絵を見ながら、大人が上手に
「絵の分析」をするための指標を用いて問いかけをすると、
子供はいつの間にか絵を見るときに、
その指標を用いて絵を「読む」ことができるようになるということです。
(中略)子供は遥かに多くの発見をすることができるようになります。
(中略)指標を与えてもらうことにより、
絵を深く観察する能力、分析する能力が引き出されるからです。(23p)
特に女の子や若い女性に顕著な、「かわいい」という形容詞で、
すべての対象の形容を片付けてしまう傾向の原因は、
彼女達の語彙が貧困であることに原因があるのでしょうか。
もちろんそれもあるのでしょうが、私はそれだけとは考えません。
「かわいい」としか対象を表現できない原因は、
対象から「かわいい」の実体を受けとる能力、
それを言語化する能力が欠落しているからだと私は考えています。(54-55p)
目で見た物に対する印象を表現するには、その前提として、
対象物の十分な観察が必要になります。
この際にぼんやりとしか対象を観察することができないと、
印象を言語化するために必要な情報を自分自身の中に取り込むことができません。
そのため何を見ても「かわいい」としか形容できないようになるのです。
またさらに、対象を見たときに、
「なぜかわいいと思うのか。どこがどのようにかわいいのか」という点を追求し、
「かわいい」の実体を受けとる能力を持っていないと、
やはり何を見ても「(なんだか知らないけれど)かわいい」としか言いようがありません。(55p)
子供が大きくなったとき、「かわいー!」としか言えないと嘆かないために、
子供が幼いときに、家庭の中で、あるいは幼稚園や小学校で
絵の分析を経験することは子供にとって大変重要なことなのです。(55p)
指標を与えながら「絵の分析」を訓練することで、
絵を深く観察する能力、分析する力を養うことができる可能性があることは、
ここで引用した文章でわかると思います。
その力が、子供の感受性を高めるのはどうして?
普段の生活にはどう生きるの?
その辺りは次の投稿で。
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