「絵本で育てる情報力」より 感受性が育つのも他人のおかげ
今日は8月11日
前投稿に引き続き、本「絵本で育てる情報分析力」(三森ゆりか著/一声社)より
絵の分析と感受性について・・・
絵本は、子供の感受性に働きかけ、豊かな人格の子供を育てる、と言われています。
そして、子供に絵本を読み聞かせたら、
一切の質問をやめましょう、と日本では言われています。(27p)
※確かにそういう話を聞いたことがります。
黙って読み聞かせの余韻を楽しみましょうといった感じです。
著者はそこを批判しています。
子供たちは読み聞かせ中も話したいという欲求が湧いてくるし、
それを黙らせるのではなく、話させたほうがいいと書いています。
感受性とは、外から入ってくる刺激や印象などの情報を受け入れ、
それに対して心を動かすことができる能力です。(中略)
絵本を読み聞かせてもらうと、子供の目からは絵が入力され、耳からは言葉が入力されます。
こうした外界からの刺激によって、子どもの心は動かされ、
無意識に情報の分析をし、様々なことを感じます。
このとき、なぜ子供は黙っていられるのでしょうか。
入力されたら、出力したくなるのは人間の当然の生理ではないでしょうか。
大人でも、感動的な映画を見たら、思わず黙って見ていられなくなって声を上げたくなります。
心を突き動かされる小説を読めば、その想いを誰かと分かち合いたくなります。
大人は、静かに黙って見ることの必要性を社会生活の経験の中で知っていますから、
その場ですぐに声を上げることはしません。
でも、子供にはこの抑制は効きませんから、
子供は自分の想いをすぐに表現したくなるのです。(28p)
絵本を読み聞かせている途中で子供に一切質問をしてはいけない、
子供に一切質問させてはいけない、子供の感受性のために沈黙こそ重要という考え方は、
むしろ子供の感受性を無視した考え方だと私は考えています。
目から、そして耳から入ってきた刺激を受けて、子供の心が動かされたとき、
その時子供の感受性は育ちます。
そして、それを言葉に置き換えて表現し、それが大人に受け入れられたとき、
子供は自分の感受性に確信を持てるようになり、大きな喜びを感ずるでしょう。
子供の感受性を伸ばしてあげるためにはむしろ、
子供が感受したことがらを言葉に置き換えて表現する作業を大人が認め、ほめたたえ、
さらに別の方面から問いかけをして深める手助けをすることこそ必要です。(28p)
幼いときに、感受したことがらを分析的に捉え、
それを自由に表現する経験をたくさんした子供は、
自分の感じ方、受けとめ方、考え方に自信を持てるようになり、
本当の意味で深く考えることができるようになります。 (28p)
ここに引用した文章で思い出されるのが、8月1日の講座での永田先生の言葉。
「自分の気持ちは、他者からの意味づけで育ってくる。」
口で表現してみて、それはこうだねと周りの人から言われて、
自分の気持ちの意味づけがなされる。
この説は新鮮でよかったです。
今回も同じだと思います。
周りから認められて、これでいいんだと自信をつける。
自分の頭に浮かんできたことに自信をつけるのです。
やはり人は一人では変化しない、成長しないと、この切り口から思いました。
(次の投稿につづく)
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