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2013年3月22日 (金)

「発達障害のある子の困り感に寄り添う支援」からどっさり引用

 

今日は3月22日。

 

本「発達障害のある子の困り感に寄り添う支援」(佐藤曉著/学研)はいい勉強になりました。

血や肉になってほしいので、厳選して引用してみます。

たくさん引用します。興味のある人・必要な人が読んでみてください。

 

 

子どもは、自分が困っていることを、ことばでうまく表現することができない。

忘れ物一つにしても、なくて困っていながら、なければないで、

そのままぼんやりしている子どもが多い。

だから、教師が気づく必要がある。支援はそこから始まる。(11p)

 

 

 

その子を理解するための様々な視点を持つ必要がある。

例えば、単にわがままが強いだけなのか(育ちや性格という視点)、

学級の中で、何かおもしろくないことがあるのか(集団への適応という視点)、

それとも、家庭で何か心配なことがあるのか(家庭環境という視点)などである。

(中略)

「発達障害」という視点を持ち込んでみると、

「そういうことだったのか」と納得できることがある。

自閉症の子どもは、他人から責められることに対して、

ひどく敏感に反応してしまう。

そのうえ、反論しようにも自分の思いをうまくことばで伝えられない。

ささいなことでいらだち、トラブルを繰り返すこの子どもには、

発達障害が疑われるのである。(13p)

 

 

 

ADHDや自閉症の子どもは、周囲のちょっとした刺激が目に入ると、

たちまち気が散ってしまう。

この子たちには、授業に集中できるような環境整備が必要である。

たとえば、①座席を前にする、

②教師の机の上に子どもの気になるもの置かない、

③棚にはカーテンで目隠しをする、

④外の様子が気になるようであれば窓にフィルムを貼る、といった手立てである。(26p)

 

 

 

集団の中にいただけでは、社会的なルールが身につかないのが

自閉症の子どもである。

彼らに「社会性」を習得させるためには、個別的な対応がどうしても必要である。(30p)

 

授業の始めに、その時間に学習する内容を書いたカードを

黒板に貼っておく。

そのうち何枚かは、定番メニューである。

毎時間繰り返すことによって、

子どもにできたという実感を持たせるための課題が、

気の利いたネーミングで書いてある。(36p)

 

 

 

子どもたちが相互にモデルになり合い、子ども同士が育ちあうのである。

発達障害のある子どもには、

とるべき行動のモデルになるクラスメイトがいるといい。(41p)

 

 

 

トラブルを解決するために、まずは記録を取りたい。

朝から時間を追って、どの時間帯の、どういう場面で、

どのようなトラブルが起こるのかを記録するのである。(中略)

トラブルがどのような状況下で、

何が直接の引き金になって起こるのか(先行条件)、

トラブルが起こった後に、それをさらに助長させている要因がないか(結果条件)、

といった二つの枠組みに沿って記録を整理すると、

トラブルの構図がはっきりしてくる。

その際、それぞれの状況下で、

子どもがどのような「困り感」を抱いているのかについても検討したい。

子どもの「困り感」に対して適切な手当てをすることができれば、

トラブルは解決する。(47p)・・・※具体例は本を読む。

 

 

 

立ち歩き・・・担任が当面打つべき手だては、

子どもにとって空白になる時間を減らすことである。

それには、今することと次にすることを、その都度示すことである。(53p)

 

 

 

自閉症の子どもには、周囲とのトラブルを避けられるような具体的な振る舞いを、

一つひとつ丁寧に教えていくことが大切である。(57p)

 

 

 

周りの子を激しく罵倒する・・・・そこで「注意するのは日直さんだけ」という決まりを新たに設けた。

また、日直になったときには

「ちゅういをするときはー小さなこえ/ていねいなことば」と書いたカードを渡した。

・・・・具体的な振る舞いを教える例。(58p)

 

 

 

自閉症の子がパニックに陥ると、今からどうなってしまうのか、

本人自身も、先の見通しを失ってしまう。

(中略)「動揺期」での支援のポイントは、

子どもの気持ちに寄り添いつつ、そこを切り抜ける見通しを

タイミングよく提示することである。(64p)

 

 

 

パニックが頂点に達してしまう「暴発期」では、

落ち着ける部屋に連れ出してクールダウンを図るのがよい。

教室では、周囲のちょっとした刺激がパニックを助長する。

また、それ以上、クラスにその子のマイナスイメージを広げるのは避けたい。

これは人権上の配慮でもある。

別室では、安全に配慮してしばらく見守り、

少し収まりかけたところ(回復期)で、そっと寄り添う。

その後は、いきなり教室に戻すのではなく、

興味を持てる遊びや教材を用意して、しばらく様子を見たほうがいい。

こうして、しんどいところを教師といっしょに切り抜ける経験をさせる。

つらくなっても、この人が来てくれれば大丈夫という安心感を、

子どもに持たせたいのである。(64p)

 

 

 

教師のあとについて読みの練習をする風景を、

小学校の教室ではよく見かける。

月並みな指導法ではあるが、これを念入りにしていくと、

思いのほか効果が上がる。

文節区切りの練習から始めて、

一度に読む単位を少しずつ長くしていくとよい。(74p)

 

 

 

「せめて低学年では通常の学級でやらせてみて、

どうしても厳しいようだったら個別の指導を」と考える人も多い。

しかし、それは想像以上に子どもに無理をさせている。

むしろ、低学年の時期こそ、その子に合った「個別支援」を用意したい。

啓介君のように、三年生になって通常学級での学びを再開しても、

全く遅くはないのである。(82p)

 

 

 

集団生活で期待される行動を身につけさせるための「個別支援」には、

①学校生活のあらゆる場面における生活を評価し、

身につけさせたい行動を決定する、

②それぞれの行動を身につけさせるための課題分析をすると同時に、

支援の手だてを検討する、という2つのステップがある。(86p)

 

 

 

受け持った子どもに身につけさせなくてはならないことは何か。

それを知るために、まずは、1日の学校生活を、時間を追ってチェックしたい。(86p)

学校生活のチェックリスト(小学校用)88pにあり。

 

 

 

一日のスケジュールが決まり、好きなシールを貼ってもらって、

調子よくいっていたのもつかの間、再度生活が崩れてくることがある。

その理由の一つとして考えられるのが、子どもが、

その日その日の断片を生きていることにある。

そんな彼らには、本人がそこに向かって毎日を頑張れるような何かを、

一日の生活の範囲内だけでなく、

ある程度先の時間的な広がりの中に提示したい。

私たちは、木曜日くらいになると「あと二日頑張ったら休み」だとか、

「来週末はどこそこに行くのが楽しみ」だとかいうように、

先になにがしかの楽しみをぶら下げて、そこに向かって今を生きている。

だから多少のことは我慢できるのである。(96p)

 

 

 

2年生の幸男君。毎日の生活のめあてを決めたのだが、

いっこうにポイントがたまらない。

そこで担任は、ふだんの生活で、

幸男君が2年生として望ましい行動をするたびに

「良いことノート」に記録することにした。

「良いことノート」はつねに担任が携帯した。

友だちに順番を譲ったとか、落ちていたぞうきんを拾ったとか。

ノートに書かれたことは、そのほとんどが、

あたりまえなことばかりだった。

しかし、担任はそれを「できてあたりまえ」とせず、

「先生はそういうことをあなたに期待していたのです」と訴え続けた。(99~100p)

 

 

 

「良いことノート」は、

教師が何を子どもに「期待」しているのかを教えるツールである。

そして、「良いことノート」を使っていちばん伝えたいことは、

「期待」に応えてくれた子どもに対する、

教師の「喜び」や「感激」の気持ちである。

こういう感情が通じるようになると、子どもとの距離は一気に縮まる。(100p)

 

 

 

高機能自閉症やADHDなどと診断されているか、

その疑いがあって、とりわけ衝動性の強い子どもが、

教室では確かに目だつ。

しかしこの子たちは、学級が崩れる原因ではない。

騒然とした教室の雰囲気に、むしろ彼らはいちばん影響を受けやすい。

実際、進級して集団が変わると、

前年のことがうそのように落ち着く場合がある。(104p)

 

 

 

先生たちは何をしてくれているのか。

どんな小さなことでもいいから、保護者は知りたいのである。

「そんな神経質にならなくても」と思わないでほしい。

学校からの「報告」がないから、心配なだけなのだ。(126p)

 

 

 

学校に呼ばれるだけで気が重いところに、

子どもの問題行動をことさら強調されたら、保護者はやりきれない。

保護者面談では、問題となる行動の背景にある、

その子の「困り感」を話の切り口にするとよい。

例えば、授業中に大声を出す子ども、

そのことが実際に授業の妨害になっていたとしても、

それをそのまま保護者に話すのはまずい。

保護者も我が子がみんなに迷惑をかけていないか、

とても気がかりなのである。

そうではなく、まずはその子がどうしてそうしてしまうのかを考えたい。

周りの子どもと同じようにしたいのにうまくできず、いらだっているのかもしれない。

無理をして、本人なりにずいぶん困っているのではないか。

ともあれ保護者には、いつも子どもの身になって支援したいのだと伝えたい。(132p)

 

 

 

ここを切り抜ける方法はただ一つ。

教師が、発達障害のことについて、保護者以上に勉強することである。

「構造化・TEACCH」「応用行動分析(ABA)}と聞いて、

そんな専門的なことは分からないと言わないでほしい。

ちょっと勉強すれば、すぐに理解できることである。

「自分は専門でない」と思い込んでいる限り、

いつまでたっても保護者との話はかみ合わない。(135p)

 

 

 

教育支援を計画的に実施するためには、

「個別の指導計画」を作成しなくてはならない。

もちろん、就学前から卒業後までを見通した「個別の教育支援計画」もほしい。

しかし、まずは当面必要な「個別の指導計画」から着手したい。(136p)

 

 

 

教師が作成のイニシアチブをとる「個別の指導計画」に対して、

「サポートブック」は、保護者が主体となって作るものである。

もちろん、サポートブックに関する知識が保護者にない場合は、

関係する資料を紹介するとよい。

いずれにしても、サポートブックの作成に教師が参加することは、

保護者とともに子どもを見つめる絶好の機会になる。(136p)

 

 

 

発達障害のある子どもへの理解を促すためには、

その子の抱く「困り感」に焦点を当てた説明をすると分かりやすい場合がある。

(中略)発達障害ある子どもの「困り感」は、

どの子でも多かれ少なかれ体験したことのある「困り感」である。

それだけに、子どもたちの身近には、

共感できる例がいくらでもある。(147p)

 

 

 

学級内でのトラブルだということで、

担任が一人で解決しようとしてはいけない。

学級懇談を開催するにしても、

トラブルになった子どもの保護者と面談するにしても、

教員がチームを組んで取り組まなくてはならない。(154p)

 

 

 

「S小学校の子どもは、職員全員で育てる」ことが

あたりまえになっているこの学校。

子どもの話になると、さっと人が集まる。

かつて、生徒指導で苦労した時期を乗り越えてきた教職員が

つくり上げてきた風土なのだという。(157p)

 

 

 

パニックや友だちとのけんかなどが絶えない場合、

いつ、どういう場面で起こるのか、詳しく記録をとりたい。

紙の上に書き込んでみると、思わぬ発見があるものだし、

そこから支援の手だてが浮かんでくる。(170p)

 

 

 

発達障害のある生徒のうち、一部の子どもについては、

生徒指導上相当に厳しい対応に迫られる。

彼らがトラブルを起こすと、

教師の予想をはるかに超える問題に発展してしまうことがある。

(中略)

こうして生徒の行動を理解し、支援していくためには、

そうしても発達障害といった視点からのアプローチが必要になる。

安易な受容的かかわりや、厳しいだけの生徒指導は危険である。(173p)

 

 

 

 

 

 

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