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2009年4月 7日 (火)

観察しなければ、自然のことはわからない

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録 奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
石川 拓治

幻冬舎 2008-07
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前投稿につづいて、この本について書きます。

無農薬栽培に挑戦した木村秋則さんの発言の中で

次の言葉が自分には特に印象に残りました。

    

「農薬を使わなくなってわかったことがあるのな。

農薬を使っていると、リンゴの木が病気や虫と戦う力を衰えさせてしまうのさ。

楽するからいけないんだと思う。

クルマにばっかり乗っていると、足腰が弱くなるでしょう。

同じことが起きるわけ。

それでな、リンゴの木だけじゃなくて、

農薬を使っている人間まで病気や虫に弱くなるんだよ。

病気や虫のことがよくわからなくなってしまうの。

農薬さえ撒けばいいから、病気や虫をちゃんと見る必要がなくなるわけだ。

人のことを言っているんじゃなく、この私がそうだった。

害虫の卵は、保護色だと言ったでしょう。

小さいし、枝でも葉でも、産みつける場所と同じ色をしているから、

なかなか見つからないのよ。

おまけにどの卵からどの虫が孵るかわからないから、

害虫の卵のそばのテントウムシの卵を取ってしまったりな。

テントウムシの卵は、オレンジ色をしているからむしろ見分けがつきやすいんだ。

害虫を目の敵にして無我夢中で虫取りをしているうちは、

そんなことすら気がつかなかったわけだ。

落ち着いて虫たちのことを眺めるようになって、

ようやくいろんなことがわかるようになったな」(156~157p)

    

観察が大事なんだ。

私も自然観察の大事さを昨年度知ったというか、

思い知らされたと思います。

8年も同じ学校にいて、すぐ近くの田んぼでの自然の営みを全く知りませんでした。

1年間、田んぼの自然観察を続けて、

人を飽きさせないさまざまな自然を見つけました。   

    

こんな文章もありました。

   

テントウムシにしてもそうだ。

テントウムシだって卵を産むのは初めてだろうに、

害虫の卵がどこにあるかわかっているのだ。

そうでなければ、まるで計ったように正確に、

害虫の卵のすぐそばに卵を産みつけることが出来ないはずだ。

自然というのは、考えてみれば不思議なことだらけだ。

人間は長い時間をかけてひたすら観察しなければ、

生まれたばかりの虫ほども自然のことがわからないのだ。(158p)

    

30年見てきた木村さんは、やっと害虫の卵を直感で見つけることができるようになったとのこと。

   

妙な言い方だけれど、テントウムシに負けていない数少ない人間なのだ。(159p)

    

農家の人は、作物をつくるために自然観察が必要です。

では教師は?

理科で、子どもたちに自然を教える立場。

なのに、自然を知らないという状況を、もっと恐れないといけないのではと思います。

    

この本で、木村さんの不屈の生き方に感動した人が多いと思うし、私もその一人です。

それプラス、木村さんの、害虫の顔を虫眼鏡で見て「かわいい顔をしている」と思うことや、

山の土の匂いをかぎ、口の中に含んでしまったりする、、

自然をじっくり味わう行為に刺激を受けました。

     

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