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2007年7月 1日 (日)

「美しい声で日本語を話す」

P6290032美しい声で日本語を話す」(米山文明著 平凡社新書)はいい本でした。

いくつか引用してみます。

「現在の学校教育では、この時期(声変わりの時期)の生徒に対して的確に指導できる先生はごく一部で、ほとんどが『自然現象だから、放っておけば自然に変わる』という程度で放置されているようです。」(35p)

「『マ』行、『パ』行、『バ』行の音は、口唇だけを閉じて開くという最もかんたんな唇の操作だけでできますから、生まれたばかりの赤ちゃんが親の唇の動きだけを見て、一番早く覚えることです。ママ、パパ、ババ、マンマ・・・などのことばは、こちの形を最も真似しやすいのでしょう。」(49p)

「学校教師や、カルチャー教室などでのボイストレーナーの指導の中で『大きな声を出しなさい』と言うのを時折耳にしますが、これは大きな間違いを含んでいると同時に、たいへん危険な問題を持っています。」(73p)「のどを悪くすることはあっても効果はそれほどあるとは思えません。大声と『よく通る声』をつくることは無関係なのです。」(74p)

「日本語の構造はほとんど全部母音に支配されていて、日本語での発語はほぼ百パーセント声帯を使わないと成り立たないという、過酷な言語を私たちは持っているのです。/のどを最も酷使することばを持ちながら、そのことばを最も効率よく、のどに負担をかけずにすむような発声法を持たないという、まさに言語のマイナス要素のダブルパンチという二重苦を背負わされた国に私たちはいるわけです。」(88p)

「教師の大きな課題は声の使用量の問題です。教師としての声の使用量は特殊だと考えてもよいでしょう。声を使う時間が長いことと(1日数時間でほぼ毎日)、子どもの出す大きな騒音、雑音の中での授業では、時にかなり大きな声も必要になることがあるからです。(中略)診療所に来る患者さんの中で、学校の先生が一番多いのも当然です。」(116p)

私は教師ですから、発声法を子どもたちに教えなければなりません。

発声法の知識が、あまりに少ない。

そして自分自身の発声法もきちんとやらねば、声をダメにする。

今まであまり意識しなかったことを意識させてくれた本でした。

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