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2024年12月20日 (金)

本「ぼくはクマムシになりたかった」を読みました

   

今日は令和6年12月20日。

  

この本を読みました。

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「ぼくはクマムシになりたかった 

かあさんに残したさいごの笑顔」

(写真・文 國森康弘/農文協)

   

2学期の終盤は、クマムシを授業で扱っていました。

そうなると、こんなタイトルの本は、放っておけないです。

  

本の冒頭はこうやって始まります。

  

クマムシって、知っていますか?

 

調べてみると、

150℃もの高温、−270℃もの低温、

人が死んでしまう強さの千倍もの放射線、

水深7500メートル地点の百倍もの高圧、

さらに宇宙空間に放り込まれても、

死なないといわれている

「地球最強」の生きものです。

  

生まれ変われるなら、

ぼくは、

そのクマムシに

なりたい。

  

「ぼく」とは誰なんだ?

なぜクマムシになりたいんだ?

そんな疑問を持って読み始めた本です。

  

  

「ぼく」は勝彦さん。

「骨肉腫」の診断を受けて闘病中に、

東日本大震災で被災。

住んでいたところが、被曝したためもう住めない。

他の県に避難。そして仮設住宅ができたので、

両親と地元に戻ってきました。

しかし病気に蝕まれた体は治らずに、

6年間の闘病を経て亡くなってしまう。

2012年9月のこと。

  

手紙を残していくから

あとで読んで。

  

いのちをさずけてくれて、

ありがとう。

  

こう見えても、

人生は充実してたんだ。

   

これは自分に言い聞かせるように、

そして親を心配させないように言ったのでしょう。

でも次のようにも書いています。

  

結婚して、

子どもをふたりはさずかって、

あったかい家庭をきずきたい。

  

キャッチボールをして、遊んでやれる。

そんな父親になりたい。

  

ありきたりだけど、それが夢だった。

  

一朝一夕にはできないことです。

この夢を叶えるには、時間が必要でした。

その時間が勝彦さんにはなかった。

「生きたい」気持ちが出た文章。

    

私は長くは生きられそうにありません。

親より先に死ぬのは

一番の親不孝だと考えていましたが、

本当に親不孝になってしまいそうです。

  

最後に母さん、ごめんね。

今度もし一度産まれくる事があったら、

母さんの子供で生まれてくる。

俺の分まで長生きしてください。・・・・

  

勝彦さんは、クマムシの生命力を

うらやましく思ったのでしょう。

自分の儚い(はかない)命との比較で、

「ぼくは クマムシになりたかった」と

思うのです。

でもね、途中で気持ちが変わります。

  

・・・・クマムシはやっぱり、

  

いいや。

  

だって感情ないだろうし、

家族の幸せ祈らないだろうから。

やっぱり、

人間がいい。

  

「最強」でなくていい。

  

たとえ弱くても、

限りあるいのちを

生き切って

空にかえる。

  

「生き切って」が勝彦さんの読者へのメッセージだなと思います。

長短はあっても、生き切ることが大事なんだよね。

生きているからできることを貪欲にやる。

生きていることを実感することをしたいね。

  

勝彦さんは、親不孝だと思って、

亡くなります。

お母さんが、返します。

  

私は病気の息子を残して先には死ねなかった。・・・・勝彦は

親不孝どころか親孝行だった。

  

なるほどです。

天国の勝彦さんもほっとしているでしょう。

ただお母さんの気持ちは落ち込みます。

    

亡くなったときそう語っていた文子(ふみこ)さんですが、それから

しばらく、落ち込みます。「早く勝彦の元にいきたい」と、しばしば

筆者にも連絡がくるようになりました。何度もお墓に話しかけ、写真

を見つめ、遺書に涙を流し重ねて、一年が経ちました。

  

筆者の國森さんもヒヤヒヤしたのではないでしょうか。

お母さんが後追い自殺をしてしまうのではないか、

そうでなくても、生きていく気力を失うのではないかと。

でも1年経って、ちょっと安心する絵葉書が、

筆者に届きます。

夕陽に向かって行くトンボ、そして紫の風呂敷に包まれた弁当。

そんな絵に添えられた言葉。

  

天国にいる息子の所へ お弁当もって行ってみたいな 日帰りで・・・

  

息子に対する愛も伝わってくるし、

心配している周囲の人もほっとさせる一文です。

お母さん、いいこと言うなあと思いました。  

 

この本は、そんなお母さんからの絵葉書が届いた

翌年の2014年1月に出版されています。

  

  

クマムシ。

その「地球最強」が故に、この本に登場しました。

「生きる」ことの参考になっていましたよ。  

   

  

  

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