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2022年12月31日 (土)

「無人島のふたり」③ アルカイック・スマイルなんて無理

    

今日は令和4年12月31日。

  

前記事に引き続き、

「無人島のふたり 120日以上生きなくっちゃ日記」

(山本文緒著/新潮社)より引用していきます。

   

2021年10月13日に亡くなった山本文緒さんの日記です。

  

寝ても寝ても眠い。

お昼前に一度起きたが、倦怠感半端なく午後もまた寝る。

夜になって少しマシになり、起き上がって夕食。

食後、夫と録画してあった「アメトーーク!」を見る。

アッハッハと笑って全部見終わったら気持ちが無防備になったのか

「あー、体だるい。これいつ治るんだろう」と思ってしまい、「あ、

そういえばもう治らないんだった。悪くなる一方で終わるんだった」

と気が付いてだーっと泣いてしまった。

(33p)6月6日の日記です。

  

私はなぜこの本を読んだのか。

いつかは自分の身に起こると考えて、

疑似体験したいと思っているところがまずあります。

あるいは、達者な作家さんならば、

死を達観して、うまく死を納めているかなと期待したところも

あるかもしれません。

でも、死を達観するなどできないことです。

山本さんも何度も泣いています。

死と対面した時には、たくさんの涙が必要なようです。

ふだんの生活で涙はぐっと我慢しよう。

死に直面した時に、しっかり泣いて、心を落ち着かせたいです。

  

昨晩は「アメトーーク!」の特番があり、

うちの娘はお笑いが大好きなので、しっかり見ていました。

家中に、娘の笑い声が響いていました。

私もつられていっとき見て、しっかり笑いました。

お笑い番組は、やっぱり必要ですよね。

笑わされることは、大事なことです。

死をも忘れさせてくれる笑いの力、すごいです。

私が昨晩特に笑ったのが「運動神経が悪い芸人」です。

  

6月6日の日記はまだ続きます。

  

どんないい人生でも悪い人生でも、人は等しく死ぬ。それが早いか遅

いかだけで一人残らず誰にでも終わりがやってくる。

その終わりを、私は過不足ない医療を受け、人に恵まれ、お金の心配

もなく迎えることができる。

だから今は安らかな気持ちだ・・・・、余命を宣告されたら、そうい

う気持ちになるのかと思っていたが、それは違った。

死にたくない、なんでもするから助けてください、とジタバタすると

いうのとは違うけれど、何もかも達観したアルカイックスマイルなん

て浮かべることはできない。

そんな簡単に割り切れるかボケ!と神様に言いたい気持ちがする。

(34p)

  

「アルカイックスマイル」とは?

コトバンク

 

ギリシャのアルカイック彫刻に見られる、口元に微笑みを浮かべた表情。

  

なるほど。アルカイック・スマイルだったんだ。

  

死は達観できないのです。

みんな死ぬんだからなんて考えられません。

みんなはともかく、自分の死は大問題なのです。

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