「情報の悪意」① 政府が右と言っているのに、NHKが左と言うわけにはいかない
今日は令和4年2月12日。
この本を読みました。
「情報の悪意」(武田邦彦著/徳間書店)
引用したい文章がたくさんある本です。
かつて安倍晋三総理の時代にNHKの会長を務めていた籾井(もみい)
勝人氏が、任期中にこのような発言をして世間の顰蹙(ひんしゅく)を
買いました。
「政府が右と言っているのに、NHKが左と言うわけにはいかない」
この言葉こそNHKの体質そのものです。(中略)
そもそもNHKをつくったこと自体が間違いだったと私は考えていま
す。なぜならNHKはつくられた現実の「ある断面」を信じさせよう
と、ウソの報道を垂れ流したからです。
具体的には、今から50年近く前に報道し続けた「石油はあと40年
くらいで枯渇する」ということです。
NHKは石油の枯渇を執拗に発信し続けていました。(中略)そんな
事実はどこにも存在しませんでした。ある種の捏造情報を、われわれ
国民の受信料によって成り立っているNHKがしきりに主張していた
のです。
この報道の裏には、アメリカを中心とした欧米諸国による原油価格を
吊り上げて世界市場で大儲けをしようという魂胆がありました。NH
Kも当然それをしっていたわけですが、そこに一切触れることなく、
ひたすら石油がなくなることの危機感を煽り続けたのです。
(38~39p)
当時、確かに石油は枯渇すると報道されていました。
そう信じていました。今も信じているかな。
また諸費税が10%に引き上げられた際には「国民一人あたりが背負
う日本の借金は833万円になる」と(NHKは)うそぶいていまし
た。そもそも国民が借金を背負わされているということが的外れです。
国債の形でわれわれに対して政府が借金をしているのですから、われ
われ国民は債権者であり、日本政府が債務者なのです。
(40p)
国民一人当たりが背負う日本の借金は・・という表現は
よく使われます。そこに疑問を呈しています。
なるほど。
NHKは視聴者から徴収する受信料で運営されています。しかし、自
らの意思で受信料を徴収する権限はNHKにはありません。国会でN
HKに対する年間の予算が決まって初めて受信料の徴収ができるので
す。つまり、NHKの生殺与奪(せいさつよだつ)の権限を政府に握
られているというわけです。
そのためにもNHKは政権与党、2021年10月末現在でいえば圧
倒的多数である自民党の了解が必要となります。ということは、「政
府や自民党の意に沿った放送をしないと、国会で予算が認められなく
なってしまう」のです。
(43p)
だからNHKは政府批判する人を出演させないと言っています。
NHKを批判したらNHKには出演できなくなりますし、政府を批判
してもNHKには出演できない。政府の方針に反目したり、あるいは
意に沿わぬ研究をしようものなら、研究費は一切出なくなるーーー。
これが現実なのです。
昔は大学の研究費は国家の介入なく、研究員全員に一律に配布されま
した。しかし、今は変ってしまいました。役に立ちそうな研究を、国
家が査定して教授に研究費を渡すというシステムに変更されたのです。
これを「国営研究」と呼んでいるのですが、まさに政府による浸食な
のです。
(45p)
だからこそ私は出版物に期待を込めて、こうして新たな本から発信を
続けています。出版はテレビなどのように国会の決議によってあらゆ
ることが左右される許認可事業ではないですし、ましてNHKのよう
に国家に牛耳られる世界ではない。制限はあろうと、まだまだ自由闊
達にモノが言える環境が保全されています。この分野こそが、日本が
明るい未来に向かうための最後の望みであると私は確信します。
出版の世界にまで国家の見えざる手が及んでくるのであれば・・・、
日本は本当に終焉を迎えることになるかもしれません。
(47p)
なるほど、だから武田教授は本を出版し続けるのですね。
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