「おれは一万石 麦の滴」両替商はどんな仕事をしていたのか 手妻
今日は令和4年1月8日。
「おれは一万石」シリーズの第4弾。
読みました。
「おれは一万石 麦の滴」
(千野隆司著/双葉文庫)
引用します。
おてつも孫の房太郎に劣らず、両替商いに必要な情報を日々得ようと
努めているらしかった。武家中心の江戸は、金すなわち小判が中心で、
商いの町である大坂は銀による取引が行われる。庶民は江戸も大坂も、
銭で物を買う。この金、銀、銭の三貨の両替を行うのが、熊井屋のよ
うな両替商である。
「だから銀を小判や銭に替えるうちでは、江戸だけでなく大坂の商い
の様子にも気を配っておかなくちゃいけないんですよ」
おてつは胸を張った。
(183p)
時代劇を見ていると、両替商は出てきます。
同じ日本の中でも、金、銀、銭の三貨があるために、
両替商という商いが存在するのだなと思いました。
「一万石」シリーズは、財政が苦しい藩の世子になった
主人公が、どうにかこうにかお金を準備してピンチをしのぐ話。
今回は麦の相場と銭の相場でお金を生み出す方法。
こんな場面がありました。
「いえ、慢心してはいけません。天井値をつけたところで、それに
気づかず売り惜しみ、どすんと値が下がって大損をする者も少なく
ないのです。」
「そんなものか」
「はい。売りどきを間違えてはなりません。手にある現物を売り払
って、現金を手にしたとき、初めて儲かったと言えます。皆様方は、
まだ儲けてはおりません」
「なるほど」
(194p)
麦の値段が安いうちに購入して、高い値になった時に売り払う。
その差額で儲けようというわけです。
私は実際に、相場で儲けようとしたことはありませんが、
小説で疑似体験ができました。
「すごいですな。こんな金の儲け方があるなど、まるで手妻(てづま)
を見せられているようでございまする」
(197p)
「手妻」という言葉がわかりませんでした。
「手品」と同じような意味かなと思って調べました。
☝ このサイトから引用します。
日本に古くから伝わる手品、奇術のことを手妻といいます。
江戸時代に、稲妻のごとく手を素早く動かすことから、
そのように言われるようになったと伝えられていますが、
明治時代以降、西洋のマジックが移入されるようになってから、
西洋に対する和のものとして、
和妻という言い方もされるようになりました。
勉強になりました。
でも歴史小説の作家というのは、こんな言葉をちゃんと知って
小説を書いているんだよな。すごいことだ。
第3弾までは、1冊で出来事は全て完結していましたが、
第4弾は未解決事件が残りました。
さっそく第5弾を読み始めています。
3連休で読むことができるかな。
コメント