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2021年7月28日 (水)

番画〈338〉:「白い灰の記憶 大石又七が歩んだ道」④

      

今日は令和3年7月28日。

   

前記事の続きです。

〈338〉「ETV特集 白い灰の記憶 大石又七が歩んだ道」

  (2021年7月24日放映)

この番画をほぼ聞き書きしてます。

   

〇再び「NHKスペシャル 又七の海」の映像。

 大石さんが語っている。

 

〇大石:責任をとってもらいたい。そこまで言いませんけどね、

  責任はあるのかないのか知りたいよね。

  もしかしたら責任ないのかもしれない。

  でも責任があるのかないのか、その答えぐらいは、

  聞かせてもらいたいと思いますけど。

  この問題というのは、やった側に責任があるのか、

  ないのかという、そういうことすら何も問題の答えが

  何も出ていないで来ちゃっていますからね。

  どちらかって言うと無視されているという状態でしょ。

  だから非常に不満ですよね。

   (沈黙)

  何のための犠牲なのか、その辺のことも聞かせてもらいたい。

  誰かのためになったのかしら、その犠牲ッというものが。

  誰かのためになっているのか。

  本当の無駄の犠牲だったのか。

  なんかわけの分からない、うやむやで消されてしまうような、

  そんなふうに感じますけどね。

  

〇長女佳子さんの語り。

〇佳子:なんか理不尽なものと、事件に対する、

  一緒に乗っていた人たちの悔しい思いと、

  同僚たちが早く亡くなっていく悔しさと無念さと怒りと、

  いろんなものがたぶん父には混じっていたと思いますね。

  やっぱり話をすることで、自分のいろんな気持ちていうのを

  吐きだす、吐きだすって言葉じゃいけないのかな、

  気持ちを少しでも表に出すことができるようになって、

  そのなかでやっぱり言葉にすることで、

  自分の考えをまとめていくというか、

  その事件をあらためてとらえなおすってことが

  できるようになったと思うし。

   

〇大石さんが自らの体験を公にするようになった直接のきっかけは、

 ある中学校からの依頼だった。

 代表の生徒が電話で、ぜひ体験した本人から聞きたいと、

 渋る大石さんを口説き落とした。

 

〇再び「NHKスペシャル 又七の海」の映像。

 北村和夫さんが大石さんの手記を朗読する。

〇北村:俺は時々思う。既成概念にどっぷり漬かって、

  固まってしまっている大人たちはもう、ダメ。

  真っ白で生まれてくるこれからの子供たちに、

  新しい未来を託すしかない。

  約束の日に、夢の島の展示館に行くと、

  男女3人ずつの生徒と、担任の先生も一緒に来ていた。

  中に一人、目の見えない高橋しのぶさんという女子生徒がいた。

  後で、展示されている船の中に入り、船室、ぎょそう、ブリッジなど、

  俺は指を差しながらいろいろと説明した。

  その子も、俺の後ろから手を引いてもらいながらついてきて、

  一生懸命、耳を傾けていた。

  俺はなぜかその子のことが気になった。

  あの子はきっと俺の言ったこと、半分もわからなかったのではないか。

  その時、ふと、あの子の手の中に入るくらいの船があれば、

  話の中の名前や形がわかるかもしれない。と思いついた。

  たいして深く考えたわけでもなく、俺は船を作りはじめた。

   

〇高橋しのぶさんへのインタビュー

 インタビュアー(イン):高橋さんが書いた感想文。

 高橋:なんかいろいろ書いたと思いますけど。

 イン:点字なんですけど、持ってきました。

 高橋:すごい、よくありましたね。何十年も前。

  

〇感想文を点字をなぞりながら読む高橋さん。

〇高橋:「私たちの船」

  大石さんに船の各部分について説明してもらった。

  私は模型船に手でさわっているだけだが、

  新米の私にベテランの乗組員の大石さんが、

  船の中をあちこち案内しながら

  いろいろと教えてくれて、

  これから航海に出ようとしているような、

  楽しい気持ちにちょっとなりかけた。

  その時この船は”死の灰”を浴びたんだってことを

  思い出した。

  心で受け取った小さな第五福竜丸は、

  学校だけじゃなくて、私の心にも置いて、

  大石さんの心を思い出すようにしたい。

  

〇高橋:よくとってありましたね。

  何十年前のきたない点字。(笑)

  大石さんの心の働きが模型船を作り出したんだと思うんです。

  誰に言われたわけではなくて。

  大石さんの心の中で作る。私のために作りたいという思いが、

  実際の行動を生み出して、行動してくださったことだと思うので、

  心が作った第五福竜丸を、大石さんがこれをつくった思いを、

  受け取るという思いで、この感想文を書いたと思います。

 

〇高橋しのぶさんは、特別支援学校の英語の教師になった。

 (英会話の授業風景)

 高橋さんの語り。

〇高橋:私には視覚障害があって、自分の力ではどうにもならない、

  そういった条件をもって、生きているっていう孤独感。

  中身は大石さんと私は違うんですけども、

  ちょっと共感できるものがあったかなと。

  人間はいっぱいいても、その中で自分と重ね合わせる人がいない

  というのは、孤独かな。

  だまっていればそれですむかもしれないけども、

  だまっていてはいけないって、言う思いがあって、

  それを実行できたっていう、強い方というか、

  心の中に強さをもった人だと思います。

   

  

つづく     

  

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