「認知症の人が見ている世界」③ 父親も頑張っているんだよな。
今日は令和3年5月27日。
前記事に引き続き、
「マンガでわかる!認知症の人が見ている世界」
(川端智著/文響社)より引用します。
認知症ケアでは、よく「寄り添い」が大切だといわれます。では、
寄り添いとは具体的にはなんでしょうか。私は、「場所」「時間」
「感情」の3つを共有することだと考えています。
(161p)
毎週日曜日は、父親は一日中家にいます。
でも上記の3つを共有することは少ないです。
3つを共有するくらいの余裕があると、
それは自分にもいいことだとは思います。
退職するというのは、
そう言うことができるチャンスを得ると考えたいです。
マンガのラストの言葉です。☟
どんなに年を取っても、認知症になっても、
人の「心」や「感情」は最後まで残っています。
そんな認知症の人の「心」を守ること
その大切さを
今一度思い出させてくれた出来事だったのです。
(165p)
父親も、食卓で楽しい話題になっていると、
「何か楽しい話をしているな」と笑顔になります。
誰かが来ている服の模様が何であるかは、よく聞いてきます。
好奇心があります。
そしてプライドもあります。
そんな「心」や「感情」を最期まで「守ること」というのは、
いいなあと思いました。
やりがいのあることだと思います。
息子ですからね。
「認知症」という言葉は、「認知」ーーーつまり「わかる力」の
病気を意味します。認知症の人の心を知るには、認知症の人が見
ている世界に思いを馳せ、想像することが欠かせません。しかし、
残念ながら、認知症ケアの現場でもそうした視点を持つ人が十分
でないのが実情です。私たちは認知症をいまだにわかっていない。
私たちこそ「認知症」に対して「認知症」なのではないか、認知
症の問題は、実は、受け入れられていない社会のほうにこそある
のではないか、そう思えてなりません。
(179p)
「認知症」のイメージは「怖い」ものでした。
父親が父親ではなくなってしまうイメージでした。
でも今は思います。父親は、認知症になっても父親です。
これがわかったのは、父親を介護する体験をしたからでしょう。
少し「認知症」を認知できました。
本書で述べてきたように、認知症の人の多くは、不安・恐怖・孤独
を感じ、混乱の中で生活をしています。そして、その混乱の中で「
周囲に迷惑をかけまい」「覚えておきたい」と、誰よりも「記憶し
よう」とがんばっています。
認知症になると、「記憶がない」「今いる場所がわからない」「目
の前にいる人がわからない」といったことが重なります。ご本人が
「何かがおかしい」と不安を覚えるのはふつうのことです。そのた
め、以前の「あたりまえにできた」「簡単にわかった」ときの自分
の姿を求め、「自尊心を保とう」と、あれこれ考え、戸惑い、落ち
込み、怒りながら、どうにかして「できる」「わかる」状態に戻ろ
うとがんばるのです。そうした中で、ケアをする人を悩ませる不可
解な行動、暴言、介助の抵抗などの行動・心理状態(BPSD)が
現れることがありますが、それらは、自分らしくあるために努力し
つづけ、苦悩している姿でもあるのです。
(179~180p)
人間死ぬまで努力して、苦悩するんだなと思います。
頑張っているんです。
父親も頑張っているんだよな。
もう少し「この時間は介護に専念する」という時間を増やしたいと、
この本を読んで思いました。
「時間」「場所」「感情」の3つを寄り添う。
介護もシングルタスクで行こう。
いい本でした。
お薦め本です。
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