「天使のゲーム 上」②/視線の威力?
今日は令和2年12月14日。
前記事に引き続き、
「天使のゲーム 上」
(カルロス・ルイス・サフォン著/木村裕美訳/集英社文庫)より。
ぼくも彼にあいさつを返した。助手席には、娘のクリスティーナがす
わっている。透けるような肌、筆で描いたような形のいいくちびる、
ぼくより一、二歳年上で、以前ビダルにビジャ・エリウスに招(よ)
んでもらったとき、ひと目で、ぼくの心を奪ってしまった女性(ひと)
だ。
「そんなにみつめてばかりいたら、彼女、こわれてしまうな」ビダル
がぼくの背後でつぶやいた。
(40p)
視線の威力ってどれくらいあるのだろう?
時々思います。
雨がちの、鉛のようにどんよりしたあの季節に、ぼくは『大いなる遺
産』を九回つづけて読みかえした。ひとつには、ほかに読む本が手も
とになかったこと、もうひとつには、これ以上のすごい本があるとは
思えなかったからだ。
(61p)
確かに、次を(次も)期待して新しい本を開きます。
次の本を期待させないような、すごい本には出合っていません。
「文学はね、すくなくとも、すぐれた文学は、芸術の血が入った科学
なんだ。建築とか、音楽もそうだけど」
(356p)
著者のサフォンは、文学というか読書を愛していた人だと思います。
「風の影」を読み、「天使のゲーム」を上巻まで読んで、
そう感じる箇所がいくつかあります。
読書は、人に影響を与える物体なのだと言っているように聞こえます。
ここまで
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