「身近な虫たちの華麗な生きかた」④ 「ジャコウアゲハ」「ゴキブリ」
今日は令和2年11月15日。
前々記事に引き続き、
「身近な虫たちの華麗な生きかた」
(稲垣栄洋著/小堀文彦画/ちくま文庫)より。
「ジャコウアゲハ」の章から引用します。
昆虫は目立たないように身のまわりと同じ保護色で身を隠すのが
ふつうである。ジャコウアゲハがわざわざ目立つような色をして
いるのは、ジャコウアゲハの幼虫が毒を持っているためである。
ジャコウアゲハの幼虫を食べた鳥は、中毒を起こして、胃の中の
ものを吐き出してしまう。そして、ひどい目にあった鳥は、これ
に懲りて二度とジャコウアゲハの幼虫に手を出さなくなる。その
ため、誤って食べられないように、体を目立たせて食べられない
ように鳥に警告しているのである。
いくら猛毒を持っていても、食べられてから毒が効くまでには時
間が掛かるから、食べられてしまってからでは身を守ることはで
きない。食べられないということが大切なのだ。その点で、ジャ
コウアゲハの毒の使い方は実に巧みである。毒が強すぎて相手を
殺してしまっては、ジャコウアゲハの毒を知らない鳥ばかりにな
ってしまう。毒の恐ろしさを学ばせることが大切だから、殺して
しまっては元も子もない。相手にひどい目にあわせる程度の毒の
強さがちょうどいいのだ。
(22p)
なるほどと思います。
ただ最初に食べられる幼虫は犠牲になるということですよね。
どんな姿をした幼虫なのだろう?
※みき♂の虫撮り友人帖 ジャコウアゲハ、幼虫〜蛹〜成虫(2015年10月11日)
ここで見ることができました。
見たことがあるかなあ。
成虫は見たことあるけど、
この蛹は覚えがありません。
「ゴキブリ」の章から引用します。
昆虫の体は、人間のように大きな脳が情報を処理するのではなく、
複数の小さな脳や神経中枢を体の節目に分散させて、体の各部位が
条件反射的に反応できるようになっている。そのため、危険に対し
て極めて敏速に行動することができるのだ。
不気味なことにスリッパで叩かれて頭がなくなっても、ゴキブリは
残った胴体で逃げていく。ヒーローにはふさわしくない不気味な能
力ではあるが、これも、体を動かす命令系統が分散しているから、
可能なのである。
(75p)
全ての生物は同じ仕組みと思いがちですが、
昆虫の神経は分散しているのですね。
なかなか理解できない、共感できない。
シーラカンスやカブトガニなど、古代の姿をとどめている生物は「
生きた化石」と呼ばれて大切にされているが、同じ「生きた化石」で
あるゴキブリは、あの手この手で退治されて、その扱いはあまりにひ
どい。ゴキブリと同じく古生代から姿を変化していない昆虫には、シ
ロアリやシミがいるが、シロアリの柱を食べて嫌われるし、シミも障
子紙や本を食べてしまう。昆虫界の「生きた化石」は、どれも害虫な
のだ。人間に嫌われて駆除されながらも人家で暮らすためには、三億
年を生き抜く図太さが必要ということなのだろうか。
どんなに退治されても、ゴキブリは進化の過程ではずっと後輩の人間
に負ける気がしないのだろう。人間がやっきになって、さまざまな退
治法を考えだしても、しぶとく生き残る。最近では殺虫剤でも死なな
い抵抗性のゴキブリも出現して、まるで人間の浅はかな科学技術を嘲
笑っているかのようだ。
(77~78p)
人間が絶滅しても、ゴキブリは残ると言われます。
しぶといのでしょう。
ゴキブリにとって、人間はまだまだ「天敵」になっていないようです。
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