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2020年11月17日 (火)

「『平和憲法』を持つ三つの国 パナマ・コスタリカ・日本」⑤ 安全保障のシステム作りに力を注ぐ

   

今日は令和2年11月17日。

  

前記事に引き続き、

「『平和憲法』を持つ三つの国 パナマ・コスタリカ・日本」

(吉岡逸夫著/明石書店)より。

  

すでに亡くなっていることがわかった吉岡逸夫さんの文章を

ここに書き写して、その思考を参考にさせてもらおうと思います。

  

平和は、どうやって作れるのか。

これは難しい。私の個人的見解はこうだ。

軍隊を持たない無抵抗主義というのは、コスタリカのようにアピー

ルを続けることによって、ある程度可能だと思う。しかし、本質的

な解決にはなりにくい気がする。無抵抗主義は、個人の哲学として

はあり得るし有効だと思うが、哲学や思想がさまざまな集合体とし

ての国民を巻き込むとき、それは難しい。ともすれば、無責任とも

とられかねない。

他国が日本をせめてきた時、無抵抗主義を通せば、万一の場合、日

本は消滅するのだ。そのリスクを負った賭けを、日本全国民が一致

団結してできるだろうか。

ベトナム戦争の時、反戦を訴えて、自ら火あぶりになって死んだ僧

侶がいた。ガンジーも無抵抗主義で、断食でインド独立を訴えた。

これは、個人のレベルだからできることであって、国民全員では相

当に難しい。

それよりも、安全保障のシステム作りに力を注いだ方が現実的だ。

パナマ、コスタリカ、日本。この三国が軍隊なしで平和を保ててい

るのは、はっきり言ってしまえば、バックに米軍が控えているから

だと思う。

私のこの見方が正しいとしても、がっかりする必要はない。それは

それで、人類の壮大な実験なのだ。日本は60年もの間、戦争がな

かったのだ。そんな国は、歴史上なかなかない。(この本の発刊は

2007年)

実験の続きを考えればいいのだ。具体的には、米軍の代わりに国連

軍を持ってくればいいのだ。それも、パナマとコスタリカと日本の

三国だけに限らず、守る対象を世界に広げるのだ。現実には、パナ

マとコスタリカは米州機構(OAS)という地域安全保障機構をす

でに持っている。ニカラグア紛争などを処理した実績も残している。

この地域安全機構を世界へと拡大させればいいのだ。

(220p)  

  

アメリカ軍ではなくて国連軍にする。

守る対象を世界にする。

それぞれの国は武器を持たない。

  

理想かもしれないけど、こうなった時に、

世界の平和がもたらさせると思います。

全く考えたことのない説なので参考になりました。

  

吉岡さんは、日本の警察についても書いています。☟ 

   

日本の安全は、どうやって維持できているのか。私は外交よりも内

政に注目している。みんなも知っているように、日本国民は、武器

を持つことが許されていない。それが許されているのは、警察と自

衛隊と海上保安庁だけだ。

もし、警察官がいなかったら、人々は、自分で泥棒や強盗から身を

守らねばならない。ところが、現実には、武器なしで安全は保たれ

ている。いざとなれば、武器を持った警察官がいるからだ。コスタ

リカの富裕層は、警察官が頼りにならないからと、自分で武器を持

ったガードマンを雇っている。(中略)

日本ではそんなことは必要ない。

なぜか。しっかりと武器を持った信頼に足る警察官がいるからだ。

そうやって、世界に冠たる日本の安全神話は保たれている。

私はこれを世界に広げたい。

(220p)

  

  

日本の平和は、世界の参考になるのです。

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