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2020年6月 9日 (火)

「みんなにお金を配ったら」④ アメリカの現況を知ることができた本

  

今日は令和2年6月9日。

  

「みんなにお金を配ったら ベーシックインカムは世界で

どう議論されているか?」(アニー・ローリー著/上原裕美子訳

/みすず書房)から引用している途中ですが、

この本を読むことで、現在アメリカで起こっていることが

よく理解できます。

  

2020年6月8日朝日新聞朝刊の記事からチョイスしました。

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「みんなにお金を配ったら」が発刊されたのは、

2019年10月です。

新型コロナ感染拡大以前です。

でももうあったのです。

不安定な雇用、貧困、人種差別、保険の不備等。

この本には、書いてありました。

  

  

引用を続けます。

  

  

 (前略)こうした傾向を鑑みれば、規模が大きく多様性のある国

家よりも、規模が小さく均質的な国家のほうが、堅固な社会福祉制

度を構築しやすいのも驚くことではないようだ。たとえば、ミーン

ズテストを条件としたUBI導入をかなり現実的に検討していたフ

ィンランドは、人口がわずか600万で、その9割近くが自宅でフ

ィンランド語を話す。ノルウェーで人口500万人で、ほぼ全員と

いっていい割合でノルウェーもしくは近隣国にルーツがある。この

ような規模の小さい白人国家には、たいてい強固で中央集権的な政

府がある。人口に応じて代表が選ばれ、合意が重視される。一方で

アメリカは分極化した二大政党制で、上院では人口の少ない田舎の

州も人口の多い州と同じ議席数を持つ。また、州が強い権限を持つ

というアメリカの伝統が、国家全体をカバーする社会福祉制度の発

展をこれまでも幾度となく阻んできた。

(141~142p)

  

 ヨーロッパ諸国のほとんどでは19世紀か20世紀には国民全員

をカバーする医療保険制度を構築していた一方で、アメリカでその

整備が遅々として進まなかったのも、人種差別が一因だ。この国は

国家が拠出・提供する医療保険制度を整備することよりも、人種を

分離する既存の仕組みを強化するほうに力を入れてきた。基本的に

は民間の保険会社に任せるシステムだ。『アトランティック』誌の

記者ヴァン・R・ニューカーク2世は、「簡単に言えば、この国特

有の民間医療保険制度が存在する理由は、少なくとも一因として、

国家が人種的ヒエラルキーを保持することに必死になってきたから

なのだ」と述べている。「その結果、主要な病気はほぼ例外なく罹

患率に深刻な人種格差があり、寿命と死亡率の差も埋まらず、医療

および公衆衛生インフラも完全に分断された形になっている」

(143p)

  

新型コロナウイルス感染でも、人種格差が表出しました。

  

  

 認めづらいことだが、真実である。アメリカは人種的多様性に富

んだ国であり、その人種的多様性が、全員一律の社会福祉プログラ

ムの開発を阻んでいる。少なくとも、比較的年配の、どちらかとい

えば保守的の、そして肌の色の白い国民が有権者として多数派であ

るあいだは、前に進めるとは期待しにくい。黒人の大統領が誕生し、

それに伴って社会福祉制度が拡大したことで、非白人に対する嫌悪

感がかきたてられ、おそらくはそのせいでドナルド・トランプの当

選につながったのだと示す証拠には事欠かない。

(151p)

  

  

トランプ大統領が選ばれたのは、

オバマ大統領が行った政策が原因のひとつだったのです。

トランプ大統領が行ったことを、

ことごとく反対しているトランプ大統領。

それは個人的な好き嫌いではなく、

トランプ大統領を支持する人たちの意向だったのです。

   

  

ベーシックインカムを知るために読んだ本でしたが、

アメリカの現況を知ることができた本ともなりました。

 

 

他にも引用したい文章が多くありますが、

ここで諦めます。

明日この本は図書館に返します。

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