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2020年6月21日 (日)

「四千万人を殺したインフルエンザ」ほぼ読破

今日は令和2年6月21日。

  

最近はブログよりも他のことを優先していて、

なかなか投稿できません。

「里山資本主義 日本経済は『安心の原理』で動く」

(藻谷浩介著/NHK広島取材班著/KADOKAWA)から

引用してきましたが、なかなか時間がないために

前投稿で終了としたいです。

次の本を読みました。

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「四千万人を殺したインフルエンザ~スペイン風邪の正体を追って~」

(ピート・デイヴィス著/高橋健次訳/文芸春秋)です。

  

1999年発刊の本でした。

 

この本に日本の感染研究者として

河岡義裕さんの名前が出てきました。47p

ここでも道草 「ETV特集 緊急会談 パンデミックが変える社会 歴史から何を学ぶか」から学んだこと(2020年4月11日投稿)   

すでに世界的に有名だったのですね。

  

 

 肺は人体の組織のなかでいちばん軽い。きわめて小さく、石鹸の

泡のように軽くて空気袋(肺胞)が三億個あり、その表面積を合計

すると、体表面積の40倍以上になる。肺は水に浮く。ところが、

ウェルチが調べたところ、患者の肺はびしょびしょで重く、肝臓の

ような感じがした。ピンク色の液体がつまっていた。この肺を水中

に入れれば、煉瓦のように沈むだろう。患者が死亡し、硬直がはじ

まると、肺のなかにあった大量の液体が鼻からふきだし、シーツを

びしょぬれにすることもあった。

(81p)  

  

1918年に猛威をふるったインフルエンザの患者の様子です。

生々しく印象に残った文章です。

  

 (1918年)10月の第2週には、わずか1週間で、英国の将

兵7489人が戦死し、2万8221人が行方不明ないし負傷した。

スペイン風邪は、史上最悪の戦争の頂点で発生した。そうした時期

にあたらなければ、それは世界的惨事として、あらゆる国で即座に、

恐怖のうちに認識されたであろう。ところが、その当時はスペイン

風邪も、分厚くたれこめた悪夢の上に重なるひとつの層にすぎなか

った。

(112p)

  

  

第一次世界大戦の時に、インフルエンザが世界的に流行していた

ということを、私はいつ認識したのだろうか。

10年程前ですね。

ここでも道草 戦災前の東京駅(2011年1月25日投稿)

  

  

 1918年の余波のひとつは、オリバー・サックスの著作『レナ

ードの朝』とその映画化作品のおかげで知られるように、嗜眠性脳

炎の患者が世界じゅうで大量に発生したことだ。15年のあいだに

何百万という人びとがこの眠り病にかかり、かれらは、ウイルスが

生命の境界にいるのと同じように、人間としての生命の境界に放置

された。患者のひとり、フィリップ・レザーは13歳の時に入院し、

詩人W・H・オーデンの父親に診断を受けた。それから64年後の

いまも、レザーはホワイトチャペルのローヤル・ロンドン病院に入

院しているーーー国民健康保険の受給者としては最長記録である。

 フィリップ・レザーや数百万の人びとを襲った症状と、スペイン

風邪との関連は明らかになっていない。1918年のウイルスが、

脳あるいは中枢神経系に、あるいはその両方に侵入し、第一波攻撃

の余波として、この恐ろしい第二の流行病である意識障害を発生さ

せたのだろうか?

(129~130p)

  

この映画は見たことあるかな?

調べました。

134111_01 Yanoo!映画

1990年の映画でした。

知識としては知っていたけど、きっと見たことがない映画でした。

1918年のインフルエンザと関連があるかもと思いつつ、

見てみたいです。

映画のなかでは、関連づけているのでしょうか?

  

  

 スバールバールとは、ノルウェー語ではたんに「凍った沿岸」と

いう意味だ。この諸島の3分の2にあたる島々は永久凍土で覆われ

ているので、まさにぴったりの名といわねばならない。

(134p)

  

この本の中編は、1918年のインフルエンザの世界的流行から

80年後に、スバールバール諸島で行われたことが

詳細に書かれていました。

永久凍土に眠っている80年前の感染者の遺体を掘り出して、

その体にあるインフルエンザウイルスを採取しようとしたのです。

しかし、残念ながら遺体は永久凍土の中にありませんでした。

ただその発想はすごいなと思いました。

  

  

新型コロナウイルス感染拡大でよく目にするようになった

「PCR」もこの本に登場しました。

 

 1980年代の後半になって、この問題は、カリフォルニアにあ

るシータスという小さな企業の研究班によって解決された。かれら

が開発した技術は、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)と呼ばれ、

開発主任のケリー・マリスはノーベル化学賞を受賞した。

(256p)

  

21年前発刊の本で、昨今話題の「PCR」を見つけて、

その歴史を感じました。

  

ラストの引用。

  

 科学者たちーーことに、どんどん財源が縮小されつつある公的資

金に頼っている人びとーーは、激烈な競争のなかで活動している。

そこではたらくシステムを一言でいえば、「発表するか、消えるか」

である。研究助成金を獲得するためには、自分の勤勉さ、意欲、創

意を示すことになる論文の数を増やしていかなければならない。さ

らには、成功する科学者は、好奇心と野心に駆られる事実が加わり、

環境が心に圧力をかけて、やる気を起こさせるという事実が加わる。

(313p)

  

科学者はうらやましい仕事だと思っていました。

私は子どもの頃、何かの研究所の科学者になりたいと思っていました。

社会と同じように理科は好きでした。

好奇心のおもむくままに仕事ができていいなと思いました。

 

でもこの本を読んで、そんな楽しい仕事ではないんだなあと思いました。

永久凍土の中に遺体がなかった時の、科学者の答弁は、

とても苦しかったです。

予想に反した結果になったことをなかなか認められない様子でした。

  

   

後編に書かれた抗ウイルス薬について書かれたところは、

斜め読みして、ほぼ読破しました。

  

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