「長期ひきこもりの現場から」⑭ 「最初の壁」を越えられず、「世界最低妄想」に陥る
今日は令和2年5月21日。
今日は昨年の6月以来、久しぶりの教室での授業をしました。
テレビ番組を使った自分らしい授業ができました。
ちゃんとできる自分を確認しました。
前日に引き続き、
「ドキュメント・長期ひきこもりの現場から」
(石川清著/洋泉社)より引用します。
成果のない支援に対して、幻滅を早々に抱く傾向が強いので、可
能ならほんの少しでもいいので、家族が少しでも手応えを感じるよ
うな、小さな変化を早い段階で実現したいところだ。
(230p)
ひきこもり・不登校への対応は焦ってはならないけど、
家族が幻滅しないような小さな変化を起こさなくてはならない。
ここが難しいけど、家族の立場ならそうだろうなと思います。
最近、メディアによく”毒親”の文字が踊る。”毒親”とは”毒になる
親”の略語だ。
もともとはアメリカのセラピストであるスーザン・フォワードが、
1990年代に書いた『毒になる親』という著作で世に出た言葉だ。
日本語訳も出ている。(中略)
1章から3章までは、日本のひきこもり問題にも深く関わる考察
が並ぶ。第1章は”親の権威や方針は絶対であり、正義や正しさを押
しつける親”について書かれている。ここでは親は正しく、子供は無
力になって、悪い意味での”いい子”になってしまい、自立できなく
なる場合について書かれている。
(230~231p)
この”いい子”はいけないのです。
この”いい子”は自立していない。
この”いい子”は自分のやったことに責任をもたない。
この”いい子”を教師は見極めなくてはならないと思います。
長期ひきこもりの人にとって、家族以外の第三者と関わりをもっ
たり、家庭以外の社会と最初に関わりをもつ「最初の壁」の高さは、
言葉に表せないほど高く、そして険しい。
その時に気にしてしまうのは、自分はどう思われるか、どう振る
舞えばいいか、嫌われずにコミュニケーションをとるにはどうすれ
ばいいかーーなどだ。気にし始めると、常に最悪のことを考えてし
まう。そして、最悪のことが起こるにちがいない、と確信してしま
う。最悪のことが起きるとわかっているならどうすべきか。そう、
何もしないこと、外へ出ないことだ。
そして何もできずにチャンスを逃したあとに去来するものは「自
分は世界で最低の存在なんだ・・・」という究極の自己嫌悪や自己
否定の念だったりする。僕が”世界最低妄想”と呼んでいるものだ。
もちろん、最初の壁を乗り越えられない人のすべてが”世界最低妄
想”の持ち主というわけではない。すでに本書で紹介したように、最
初の壁を乗り越えられない理由は、ほかにいくつもある。ただ、こ
の壁は、すでに健やかに育って何の苦労もなく壁を乗り越えている
人には、まったく感じられないし、その存在も見えない。
最初の壁にぶち当たってもがくひきこもりの当事者は、誰とも接
しない孤独な状態で自室で悩み苦しむ。孤独が続くかぎり、壁は乗
りこえられないが、当のひきこもり本人にはそれがわからない。
(244p)
最初の壁に突き当たって停滞している当事者に、
どうやってアプローチするかを、石川さんは書いています。
すごく参考になりました。
次の記事でうちます。
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