「長期ひきこもりの現場から」⑯ 孤立するには最適の部屋だったのを変えた
今日は令和2年5月23日。
前日に引き続き、
「ドキュメント・長期ひきこもりの現場から」
(石川清著/洋泉社)より引用します。
石川清さんの具体的手法を述べているところを引用します。
長期ひきこもりが家族以外の第三者と関わるきかっけ
(中略)
まず1点目は、声かけや手紙のアプローチが彼の心を揺さぶった
こと。
僕は訪問してすぐに声かけをしない。ゆっくりと、本人の緊張や
恐怖を誘発しないように進める。それが功を奏したのか、手紙を読
んで、いずれ相談したいと思ったという。本人が受け入れてくれれ
ば、手紙はどんな声かけよりも効果がある。なぜなら、手紙は形と
して残るので、気が向いたら、いつでも読み直すことができるから
だ。
(248p)
シンプルだけど、後で読み直すことができる手紙はいいのです。
実践しています。
2点目に”環境”へのアプローチのひとつがうまくいったこと。
ひきこもりが深刻化したところで、家族で引っ越してもらった。
もともと2階建ての社宅に住んでいたので、そこから出て、フラ
ットなマンションに引っ越したのだ。社宅では、当事者は2階の
いちばん奥の、孤立するには最適の部屋に陣取っていた。しかし、
引っ越ししたあとのマンションでは、家族の努力で本人の部屋は
リビングに隣接する和室となった。入り口もドアから襖に変わり、
リビングから家族や、来客があったときなど他人の雰囲気を感じ
やすくなった。
(248~249p)
環境へのアプローチは具体的にこういうことなのでしょう。
石川さんは「路地の奥の家ほどひきこもりやすい」
とも書いていました。
※ここでも道草 「長期ひきこもりの現場から」⑤ 路地の奥の家ほどひきこもりやすい(2020年4月13日投稿)
環境は、影響を与えるのです。
長期ひきこもりの人にとって、家族以外の第三者と関わりを
もったり、家庭以外の社会と最初に関わりをもつことを
「最初の壁」と石川さんは書いています。
この「最初の壁」を越えたとしても、長期ひきこもりの人には
「第二の壁」があるとしています。
第二の壁は”成長”の壁で、ひきこもっている間に経験できなかっ
たことを、その後の人生でどれだけ追体験できるか、必要な知識や
経験をどれだけ獲得できるかが重要となる。よく学び、よく遊ぶこ
とで自分なりの他者との交わり方をどれだけ会得するかが重要だ。
(253p)
第一の壁を越えても、第二の壁があり、
上記のことを配慮しなくてはいけません。
長期ひきこもりに人だけでなく、
長く不登校だった生徒に対しても同じだと思います。
登校したら終わりではなく、そこから次の対応が必要です。
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