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2020年4月13日 (月)

「長期ひきこもりの現場から」⑤ 路地の奥の家ほどひきこもりやすい

  

今日は令和2年4月13日。

  

前日の記事に引き続いて、

ドキュメント・長期ひきこもりの現場から

(石川清著/洋泉社)より引用します。

  

 密集した住宅街の一角に義雄君の家はあった。密集した住宅街の

路地の奥の家は、ほかの家に比べて長期間ひきこもる人が多いよう

だ。実際、現在僕が訪問している家のなかでも、このような条件の

位置にある家が、5,6軒ある。

(112p)  

  

驚いた。私にも心当たりがあるのです。

石川さんは、理由まで述べています。

  

 路地の奥の家ほどひきこもりやすい、というのには理由がある。

 奥まった家から外に出ると、必ずその路地を通らなければ表通り

に出られない。しかし、路地の両側には近所の家が軒を連ねている。

すると、路地を抜けるときに、両側の家々の人に、”見られている”

ような気分になってしまうことがある。もちろん、実際にはそんな

ことはないかもしれない。だが、一度”見られている”という感覚に

苛まれると、頭の片隅に」から振り払えなくなってしまうことがあ

る。そうなると、路地を通りたくないがために、自宅内にひきこも

ってしまうことがあるのだ。

(112p)  

  

実践者が語ることです。傾聴に値します。

  

  

 僕が最初に訪問支援をしたのは、太郎君だ。2001年のことだ

った。当時は訪問支援という意識はなく、僕は長期間ひきこもって

いた当事者と個人的に接する機会を得て、どうしていいかわからず

にちょっととまどっていたように思う。

 当時、ひきこもり問題の専門家はごくわずかしかいなかった。精

神科医の斎藤環(たまき)さんが『社会的ひきこもり』を出版し、

ひきこもり問題を世に投げかけたのは、1998年11月のことだ

った。

(120p)

  

私が教員になってからのことです。

「不登校」は若い時から聞いていた言葉ですが、

「ひきこもり」はやはり後から聞いた言葉です。

  

 悩みに悩んだ太郎君は、自分が人とうまく付き合えないのは背が

低いせいだと考えた。しかし、当時の太郎君の身長は約170セン

チで、同年代の男子の平均。決して低いわけではなかった。

 太郎君は、典型的な”醜形恐怖”の症状に襲われていた。自分の顔

や外見が悪いため、人に嫌われたり、受け入れられないと頑なに信

じ込み、際限なく悩んでしまう症状だ。

 太郎君の視界には身長の高い人たちの姿しか入らない。自分より

低い身長の人は視界に入らない。いや、もちろん視界には入ってい

るのだが、背の低い人たちの存在は記憶に残らない。だから、太郎

君の頭の中では「自分は世界で最も背の低い、醜悪な男」というふ

うに固定されてしまった。

(122~123p)

  

こういう人もいるのです。

そう思って生徒に接していきたい。

  

 中国や韓国、香港、シンガポール、東南アジアでも、最近は”ひき

こもり”の問題が深刻になってきているという。条件が重なれば、日

本以外でも”ひきこもり”は発生してしまうようだ。

(131p)

  

日本だけではないようです。

今の時代が、ひきこもりを増やす理由があるのでしょう。

  

  

石川さんは、時々ひきこもりの人を海外旅行に連れ出します。

旅行してみて次のような声もありました。

  

「日本にいるときは、周りが皆、忙しそうに動いているので、ひきこ

もっている自分だけがどんどん取り残されてしまうような感じがして、

終始不安でしょうがなかったんです。でも、その島では周りの人が全

員、何もしないで1日じゅうゴロゴロしていて、まるで時間が止まっ

たようでした。いや~、リラックスするってことを初めて体験できま

した。こんなところに長期滞在すれば、なんか癒されそうですね」

 日本人の若者グループ、特に元気のよさそうな男性のグループが近

寄ってくると、すぐに調子が悪くなってしまったが、これも無意識の

うちについ”ひきこもり”の自分と、元気な相手を比較してしまい、嫉

妬と自己嫌悪の念に打ちのめされてしまうからだ。

(135p)

  

こういうひきこもりの人の微妙な気持ち。勉強になります。

私も休職中ににた感情を持ちました。

  

  

タモツ君は職場で同僚とささいなことで喧嘩をしました。

  

 私物のハサミを同僚が勝手に使ってそのまま持ち続けていたことを、

タモツ君が注意したことがきっかけだった。そのことだけみると、タ

モツ君が悪いわけではない。

 しかし、なぜか取っ組み合いの喧嘩となり、タモツ君はつい「こん

な会社、やめてやらぁ!」と啖呵を切って、本当に辞めてしまった。

上司からはもちろん慰留されたが、「男が一度公言した以上、あとに

は引けません」という言葉を残して、タモツ君は会社を去った。

 実はひきこもりがちになる若者の場合、こうした傾向はたまにある。

黒か白か、敵か味方か、行ったか言わないか、の両極端な二者択一、

その中間を考えられない窮屈な思考に陥るのだ。そして、こういう人

ほど、自分が発した言葉に翻弄されて、不器用な生き方しかできなく

なってしまう。社会人としては、当然幼いということになるのだが、

そんなことはもちろんわかっている。しかし、それでも自分をコント

ロールできなくなってしまうのだ。

(138~139p)

これも心当たりがあります。

こういう児童や生徒はいました。

 

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