「アナザーストーリーズ 東海村臨界事故」② 心身ともに完膚なきように打ちのめされた
今日は令和2年5月5日。
前記事に引き続き、
2019年12月3日放映の「アナザーストーリーズ
東海村臨界事故 終わらない闘い」より。
〇大内さんは新しい細胞を作れない体になっていた。
〇最初に異変が起こったのは血液。
大内さんの体は血液を作れなくなっていた。
白血球の数が激減。急きょ、家族からの血液細胞の移植が行われた。
〇肺から出血。呼吸悪化。11日目には人工呼吸器の治療開始。
〇皮膚は再生されず、変色し、剥がれ落ちてきた。
〇入院した時には色調は日焼け程度だった。
〇水泡ができ、皮がむけてくる。体液もしみ出す。
〇皮膚移植を行うが、完全にははりつかなかった。
〇山口芳裕さんの言葉。
「私はただただ目の前で、最初は絶対に救うぞ、救えるはずと
思っていた患者さんが、どんどん体が溶けるような状態に
なっていく姿を見て、医療の無力というか、
それをただ実感していただけです」
〇大内さんの体は内部からもむしばまれた。
あらゆる消化管から大量出血。医師は止血。
しかし手の施しようがない。
〇治療の手ごたえがない毎日。
命を無理やり伸ばしているように思えてきた医師。
〇家族は近くのホテルに滞在し、見舞いに来る。
「できるだけのことをしてほしい」
その言葉が医師の原動力だった。
〇被曝59日目の朝。心臓停止。
1時間心臓マッサージをして蘇生。
〇前川医師は家族に「覚悟してください」と告げる。
次に心臓停止した場合は、延命処置はしないことに家族が同意。
〇被曝83日目に大内さんが息をひきとる。
〇死の報せを聞いた時の山口芳裕さんの思い。
「こんな形で失われる命があるんだ。まだ自分たちに
何もできないような領域がこんなところにあるんだというのが
実感だったように思えます」
〇前川医師のもとに、もう一人の作業員が運び込まれる。
大内さんよりは被爆量が少なかった。
しかし、被曝211日目に、その方も息をひきとる。
〇前川和彦さんの言葉。
「放射線被曝の恐ろしさ、怖さを私たちは感じた。
心身ともに完膚なきように打ちのめされたという
感じになりました」
大内さんが83日目、もう一人の方が211日目に
息をひきとりました。
前川さんを中心にした医療チームの長い闘い。
救えなかったために、打ちのめされた気持ちになったことでしょう。
しかし、この経験が2011年に活きます。
次の記事につづく。
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