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2020年4月 2日 (木)

「横道世之介」② 「俺、彼女いるんだ?」「え?俺、彼女持ち?」

  

今日は令和2年4月2日。

  

一昨日の記事の続きで、

横道世之介」(吉田修一著/文春文庫)より。

  

  

 自分のことは自分でやる。

 口で言うのは簡単である。しかし東京で一人暮らしを始めるまで

「自分のこと」というものが、こんなにも多いとは、世之介は夢に

も思っていなかった。

(33p)

  

特にうちの息子は、近い将来このように感じるだろうなあ。

就職がうまくいけばの話ですが。

  

  

 世之介はほっと安堵の溜息を洩らした。洩らした途端に

腹が鳴る。先にフォルックスにステーキを食べに行くべき

か。それとも軽く食パンでも齧っておいて、先に仏語の宿

題を済ませたのちに、ゆっくりステーキを味わいに行くべ

きか。 

 クロード・レヴィ―ストロースとかいう学者の本を和訳

しなくてはならないのだが、分からない言語で分からない

ことを書かれても、正直、自分が何を分からずに困ってい

るのかさえ分からない。

 先にステーキだな。

 悩んだわりには」あっさりと答えが出た。

(90p)

  

こういうささいなことを、

しっかり書き込んでいるんだよなあ。  

  

  

高校2年生の2学期に、横道世之介は、酔った勢いで、

同級生の山崎さくらに、愛の告白をします。

  

その夜さくらはにどのような返事をもらったのか、世之介ははっき

りと覚えていない。しかし桜に見送られて帰る道すがら、「俺、彼

女いるんだ」「え?俺、彼女持ち?」などと何度も独り言を呟いて

いたのだから色良い返事だったはずである。電柱があるたびに飛び

上がっていた記憶だけはある。

(152p)

  

遠い昔を思い出します。

こんな情景も文章にしてしまう著者なのですね。  

  

  

他にも、買った本なので、いい文章に出会うと、

ページの角を折っておきました。

再読では、その折りを直しながら読みます。

ついつい、書き留めずに読み進め、

最後の角の折ったページの文章です。☟

  

 眼下のグランドを覗き込もう、世之介が触れた桜の幹からとて

も細い枝が伸び、そこに一輪だけ花が咲いていた。

 小さな桜の花びらに世之介は指先で触れた。細い枝が撓(しな)

り、花びらが揺れる。世之介はカメラを取り出した。そして気の

早い桜をパシャリと1枚のフィルムに収めた。まだ小さな蕾しか

つけていない樹の中でたった一つだけ咲いてしまった気の早い桜

の花が、なぜか祥子を思い出させる。

(457~458p)  

 

先日似た体験をしています。

ここでも道草 20200322鳳来寺山登山報告(2020年3月24日投稿) 

鳳来寺山の麓で、一輪だけ咲いた桜がありました。

今頃は仲間が増えて、楽しく咲いているかな。

  

   

 

新年度、2日目の出勤。

昨日は一番で下校しましたが、職員玄関の靴ベラを、

右足のかかと付近でバキッと折ってしまいました。

慣れない革靴、慣れない靴ベラの結果でしょう。

折れた靴ベラは持ち帰り、お店で代わりの靴ベラを買いました。

500円少々。

サイズはほぼ同じですが、微妙に違う靴ベラです。

今朝、さりげなくぶら下げておこうと思います。

気がつく人がいるかな?

楽しみが増えました。

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