「続横道世之介」④ 「善良であることを諦めちゃいけない」
今日は令和2年4月7日。
今晩10時からNHKEテレで放映される
「先人たちの底力 知恵泉」で扱う人物は、井原西鶴。
井原西鶴の代表作「好色一代男」にも触れるようです。
こちらが関心を持っていると、テレビ番組が用意をしてくれます。
なんて、思うことがたびたびあります。
言わずと知れた「好色一代男」主人公名は、世之介です。
昨晩の記事の続きで、
「続横道世之介」(吉田修一著/中央公論新社)より
引用します。
去年の4月から、だらだらと始まったこの1年間の物語も、桜の
開花を待たずに、そのままだらだらと終わりを迎えようとしている。
人生などというものは、決して良い時期ばかりではない。良い時
期があれば、悪い時期もあり、最高の1年もあれば、最低の1年も
ある。
一応大学は卒業したものの、1年留年したせいでバブル最後の売
り手市場にも乗り遅れ、バイトとパチンコでどうにか食い繋ぎなが
ら始まった世之介のこの1年が、決して最高の時期ではなかったの
は間違いない。
ただ、ダメな時期はダメなりに、それでも人生は続いていくし、
もしかすると、ダメな時期だったからこそ、出会える人たちという
のもいるのかもしれない。
桜子や亮太はもちろん、隼人さんに、親父さん、浜ちゃんだって、
コモロンだって、もし世之介が順風満帆な人生を送っていたら、素
通りしていったかもしれない。
とすれば、人生のダメな時期、万歳である。
人生のスランプ、万々歳なのである。
(402~403p)
やっぱり自分と重ねてしまいます。
昨年度は長く休職しました。
休職したからこそ出会った人たちがいます。
休職したからこそ体験したことがあります。
おそらく失ったものもたくさんあると思いますが、
得たものを大事にしたい。
私の強み?は、それを書き残していること。
このブログは私の心の拠り所です。
(「よりどころ」で変換してこの漢字が出ました。
気に入ったので、そのままにしました)
「続横道世之介」のラストは、世之介と一時期一緒に過ごした
人物の手紙です。
その一部を引用します。
これが、著者が、「横道世之介」「続横道世之介」2冊で
読者に伝えたかったことだと思いました。
世界中を船で回っていると、本当に世界にはいろんな国がありま
す。そしていろんな問題があります。目を覆いたくなるようなこと。
悲しみ。憤り。本当に奇跡でも起こってくれないかと思います。そ
んなとき、ふと浮かんでくるのが、あの頼りない世之介の顔なんで
す。
世の中がどんなに理不尽でも、自分がどんなに悔しい思いをして
も、やっぱり善良であることを諦めちゃいけない。そう強く思うん
です。
(407p)
今は、新型コロナウイルスで、前代未聞の事態です。
善良であることを心掛け、我慢できることは我慢をし、
やったらいいと思ったことは実行に移そう。
そう思うんです。
でもまだエネルギーの使い道が見えません。
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