パラリンピック〈27〉 「パラアスリート」⑭ ゴールボールの深さ
今日は令和2年2月23日。
前記事に引き続き、
「パラアスリート」(山田清機著/PHP研究所)
より引用します。
【ゴールボール選手 小宮正江/こみや・まさえ】その2
著者は2019年2月3日、「天皇陛下御在位30年記念
2019ジャパンパラ ゴールボール競技会」を観戦しています。
この大会ではラジオの貸し出しが行われており、試合会場内の
ブースから放送される実況中継でリアルタイムで聴くことがで
きた。
(243p)
会場を静かにさせるくらいなので、このラジオはイヤホンで
聞くようになっているのだろうか。
興味を持ったので調べました。
※ニッポン放送NEWS LINE 音を使った究極の心理戦「ゴールボール」ってどんな競技?
☝ ここで紹介されていました。
骨伝導イヤホンだそうです。
投球方法には、テイクバックしてボーリングのように投げる方
法と、選手自らが一回転して投げる回転投げの二種類があるが、
回転投げの場合は手からボールが離れるまで鈴の音がしにくく、
テイクバックして投げる場合はテイクバックの最中も鈴の音が
聞こえる。セブタ(トルコ)はテイクバックと回転投げの両方
を使いこなすことができるという。
(244~245p)
ここで驚きです。
ボールが転がった時の音・振動だけでなく、
手から離れる前の音も貴重な情報源だったのです。
ラジオで解説を聞きながらよくよく試合を観察していると、ゴ
ールボールが音をめぐる情報戦であることがわかってくる。攻
撃側は、左のウイングが投げる際にわざと右のウイングも足を
踏みならしてみたり、投球する選手にもうひとりの選手が寄り
添って一緒に助走をし、どちらが投げるかわからないようカム
フラージュをしたり、つまり、相手の耳を攪乱しようとする。
一方、防御する側は、センターの選手を中心にして、相手がど
こから球を投げてくるか、球筋は直球なのかクロスなのかを予
測し合って、その都度、ディフェンスの陣形を変えていく。
日本代表のディフェンスは、センターの浦田がかなり前寄りの
ポジションを取っている。これは、センターがなるべく前の位
置にいたほうが、相手の投球コースを狭めることができる(面
を殺せる)からだが、浦田が捕球に失敗すると、両ウイングの
選手が確実にカバーに入る。コートの中の様子が、見えている
ようにしか思えない。
(245p)
ゴールボールの深さがわかる文章です。
次の動画も参考になりました。☟
アソウ・ヒューマニーセンターは、福岡県中央区に拠点を置く
人材派遣会社である。小宮は同社のなかの「障がい者スポーツ
雇用センター シーズアスリート」に所属する社員であり、現
役引退後も社員として働くことを前提として同社に雇用されて
いる。東京パラリンピックを目前にして企業に雇用されるパラ
アスリートが増えているが、これまで取材したパラアスリート
の多くが「アスリート雇用」と呼ばれる契約を結んでいた。ア
スリート雇用とは、文字どおり「アスリートとして雇用してい
る/されている」という雇用形態であり、したがってアスリー
トとしての寿命が尽きてしまえば、それまでの雇用関係の見直
しを余儀なくされる可能性がある。
現在、パラスポーツの関係者の多くが”パラバブル”という言葉
を使うが、少なくとも東京パラリンピックが閉幕するまでは、
パラアスリートの存在は世間の耳目(じもく)を集め続けるこ
とが予想される。パラアスリートを雇用していることは企業の
イメージ向上につながるだろう。
では、東京パラ後はどうなるだろうか。パラスポーツが世間か
ら現在ほど注目されなくなったとき、パラアスリートを雇用し
続けることは企業にとってどのようなメリットがあるだろうか。
選手生命がつきてしまったパラアスリートは、実務経験の乏し
いひとりの障がい者にすぎないのだ。
(252~253p)
先日、東京パラリンピック後のパラスポーツの費用についての
対策会議があったことをニュースで見ました。
パラスポーツ関係者にとって、今はいいけど、
パラリンピック後は不安であるということでした。
文中に出てきた「シーズアスリート」については、
次の動画が参考になりました。
ゴールボールについても勉強になります。
まだつづく。
コメント