通算6800本目の投稿/「ぺこぱ」はいいです
今日は令和元年12月30日。
12月22日放映の「M-1グランプリ」に関する記事3本。
12月27日朝日新聞朝刊「天声人語」☟
漫才の源流にあるのが、「太夫(たゆう)」と「才蔵(さいぞ
う)」の2人によるかけあいだ。江戸期には家々を回って芸を
披露し、米や金などをもらっていたという。興味深いことに、
太夫がツッコミ、才蔵がボケという役割分担が早くからあった
▼鶴見俊輔著『太夫才蔵伝』では「太夫が正統、才蔵が異端」
と整理している。太夫が原稿通りの口上を述べ、才蔵がまぜか
えす。太夫がまじめそうで鷹揚、才蔵はせっかちでとんま。今
も通用しそうな性格付けだ▼正統もまじめも、それだけでは笑
えない。だから漫才の花はボケ役。そう思い込んでいたが、年
末恒例の漫才番組「M-1グランプリ」」を見て揺さぶられた。
まじめで一生懸命という感じのツッコミが、それゆえに笑いを
取るのだ▼優勝した「ミルクボーイ」は、ボケの一言二言から
ツッコミがどんどん発想を広げていく。3位の「ぺこぱ」にな
ると、ツッコミが考えすぎて、つっこむこと自体をやめてしま
う。ご覧になった方はわかってくれるか▼「ツッコミ至上主義」
という見出しの記事が朝日新聞デジタルにあった。今年のM-
1で「ツッコミ役が主導権を握るいまの漫才の潮流を感じた」
という。ツービートなどボケの力が圧倒的だった頃の漫才ブー
ムを知る身からすれば、革命的な変化だ▼今年の政界も経済界
も腹の立つことが多く、小欄もツッコミを入れてきたつもりだ。
いやストレートに怒るばかりでは能がない、ツッコミにも芸が
いるとM-1に教えられた気がする。精進せねば。
12月28日朝日新聞朝刊。☟
12月30日「Yanoo!ニュース」
一部引用します。☟
12月22日に放送された漫才日本一を決める『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)を見ていて、印象に残った場面がある。6組目に登場した見取り図の2人が、お互いの見た目をけなし合うくだりに入ったときのこと。盛山晋太郎がリリーに対してこう言った。
「お前さっきから黙って聞いてたら、女のスッピンみたいな顔しやがって。お前な、なでしこJAPANでボランチおらんかった?」
この言葉が発せられた直後、一瞬だけ会場は水を打ったように静まり返った。『M-1』の決勝では厳しい予選を勝ち抜いた実力派の漫才師がネタを披露するため、そもそもスベるということが少ない。多少スベったとしても、客席の笑い声がゼロになるということはめったにない。
でも、このときにはそれがあった。盛山の発言は明らかに笑わせることを意図していたものだが、彼の思いとは裏腹に会場は一瞬だけ時が止まったように無反応になった。これは「スベった」というよりも、この言葉を笑えるものとして受け止めることを観客全員が拒否した、というふうに見るべきだろう。
相方の見た目をイジるのに「女のスッピン」という表現に加えて、具体的な女性アスリートの存在を持ち出した。一昔前ならそれほど引っかからないことかもしれないが、今の感覚では「アウト」と判定されるのは無理もない。
容姿をイジる笑いや、人を傷つける笑いは今の時代にはそぐわない、などと言われることが年々増えてきた。このテーマに関して個人的には言いたいことがいくつもあるが、それは本稿の趣旨ではないので割愛する。少なくとも、そういうものを「笑えない」と感じる人が増えていることは確かであり、自分では「笑えない」とまでは思っていなかった人ですら、「笑えない」と思う人のことを今までよりも意識せざるを得ないようになってきているのは事実である。
一方、同じ日の『M-1』では、ボケを否定しない優しいツッコミを武器にするぺこぱが3位に食い込む大健闘を見せた。元来、ツッコミとは常識を盾にしてボケを否定したり訂正したりするものなのだが、ぺこぱのツッコミである松陰寺太勇はボケのシュウペイの言動を否定せず、そこに理解を示した。ありそうでなかった革新的な漫才だった。
見取り図とぺこぱの漫才から見えてくるのは、「優しさ」をまとった笑いが多くの人に求められるようになっている、という今年のお笑い界のトレンドだ。(後略)
3つの記事で共通して出てくる「ぺこぱ」の漫才を、
私は今まで見たことがありませんでした。
娘は漫才好きなので、「M-1グランプリ」を
録画して繰り返し見ていました。
「ぺこぱ」を見たいと言ったら、
すぐに再生して見せてくれました。
予選と決勝、2本立てつづけに見ました。
面白い!と思いました。
笑っちゃいました。
「攻撃的でない」ツッコミにホッとしました。
教育もこういう面があっていいのではと思います。
子どもの繰り出すボケ(行為)に対して、
「ダメじゃないか!」「それはいかん!」と
すぐに攻撃的に突っ込む前に、
「待てよ?」とワンクッション、相手を思い、
自分を振り返ることができたらと思います。
「ぺこぱ」のように、その場を笑顔で終わらせたら
さらにいいです。
流行とは思いたくないです。
真理です。
「ぺこぱ」 いいです。
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