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2019年12月26日 (木)

「医者、用水路を拓く」⑥ アフガニスタンがどんな国か

 

今日は令和元年12月26日。

  

前記事に引き続き、

医者、用水路を拓く アフガンの大地から

世界の虚構に挑む」(中村哲著/石風社)より引用します。

  

2006年のこと。

現地で正月を迎え、たまたまジャララバードの宿舎で日本のニ

ュースを見ていると、「経済上向き」を喜ぶ財界人や小泉首相

の姿が大きく報道されていた。また、外相がパキスタンを訪れ、

「対米協調、テロとの戦いに日本・パキスタンが提携して邁進

する」と強調していた。白々しかった。アフガン再建がまるで

とっくの昔に行われているかのような錯覚が根を下ろしていた。

旱魃難民の増加、年々増大するアフガン農村の壊滅は話題にさ

えならなのだ。過去5年の水を求める私たちの戦い、危機的な

大旱魃は、今後も脚光を浴びることはなかろう。経済発展のた

めなら、戦争が起きようと、環境が破壊されようと、人々が餓

死しようと、どうでもいいことなのだ。そして、日本社会を構

成する多くの国民がこの巨大な歯車に、さしたる疑問もなく巻

き込まれてゆく。日本が更に遠い世界に感ぜられた。

(276p)  

 

どっぷり日本社会に漬かっている身ですが、

病気によって休職したことで、今まで目にしなかった種類の

情報・体験を得ることができるようになりました。

教師は忙しいのです。

忙しいから、社会科教師すら、世界情勢に疎いです。

もう少し時間があればと思います。

  

  

アフガニスタンでは、「カネがなくとも生きてゆけるが、雪が

なくては生きられない」ということわざが、一言で国民の生活、

文化、社会のあり方を表している。「雪」とはヒンズークッシ

ュ山脈にあって、人々に水を供給する巨大な貯水槽のことであ

る。水は日光によって植物を育て、それを人や動物が食べる。

水と緑は、文字通り無から有を生み出す富の基盤である。これ

が明瞭な世界が、アフガニスタンである。社会全体が、自然と

一体になった農業国の色彩が強い。意識せずに伝統を重んじ、

大地に張りついて生きる様は、昨今流行りの「グローバリズム」

とは対極にある。

(343p) 

  

中村哲さんの本を読んで、中村哲さんの偉業を知りましたが、

アフガニスタンがどのような国なのかもイメージできるように

なりました。

  

  

用水路工事は、驚異的な速さで進行し、秋までに第二期工事7

キロメートルのうち、3キロメートル地点まで完成させようと

している。そうすれば、新たに一千町歩が灌漑され、数万人生

活ができるようになる。もう私たちは、「アフガン情勢」を語

るのに疲れていた。

ーーー日照りの夏には涙を流し、恵みの雨に感謝する。用水路

が延びて砂漠に水が流れ、緑地が増える毎に皆と小躍りする。

外国兵の横暴に憤り、親しい者が死ねば悲しみ、病で斃(たお)

れる子に胸を痛め、収穫が多ければ共に感謝する。それだけの

ことだ。そして、それ以外に、何ができるのだ。

上空を軍用機がけたたましく飛び交い、私たちは地上で汗を流

す。彼らは殺すために飛び、人々は生きるために働く。彼らは

脅え、人々は楽天的だ。彼らは大げさに武装し、人々は埃まみ

れのオンボロ姿だ。彼らは何かを守るが、人々には失うものが

ない。

(354~355p)

 

この言い回しはテレビ番組でも紹介されていました。

ここでも道草 知れば知るほど、素晴らしい人/中村哲さん(2019年12月11日投稿)

 

ヘリコプターから機銃掃射される可能性のある場所で

作業を進める中村哲さん。

そんな真似はできませんが、中村哲さんのような人がいたんだよと

復職したら、子どもたちに紹介することはできます。

 

 

以上で、引用を終了。

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