ニュース/劇「桜づつみ」が避難行動につながった
今日は令和元年11月26日。
11月13日放映のNHK「ニュースウォッチ9」の
聞き書きです。台風19号で大きな被害を出した長野市での
ことです。
音楽:♪ おじいさんに聞いたんだ 遠い日の話
何もかもが流された 悲しい時代のことを ♪
ナレーター:「桜づつみ」と題された歌は、5年前に地元の
小学生たちが作りました。歌詞には、過去に地域を
何度も襲った水害の悲惨さが描かれています。
歌を作った一人、寺田由希音(ゆきね)さんです。
寺田:この歌に救われたのはあると思います。
みんなにとって大きな存在じゃないかなあと思っています。
ナレーター:寺田さんたちは、この歌に合わせて劇を作り、
自分たちで演じました。
劇:水に流すな水害史!水に流すな水害史!
ナレーター:江戸時代に大雨で川の水があふれ、
おおぜいが亡くなったことなど、地元の人たちに聞いた
水害の歴史をもとに、ストーリーを組み立てました。
劇:田も畑も何もかも失った。この村はもうおしまいじゃ。
ナレーター:この時の経験が今回の台風に生かされました。
千曲川沿いにある寺田さんの自宅は、1階が床上40cmまで
水につかりました。台風19号が接近した先月(10月)
12日の夜、千曲川の水位はどんどん上昇し、この地域には
午後6時に避難勧告がなされていました。
この時、避難するかどうか迷っていた両親を動かしたのは、
寺田さんでした。
あの歌を思い出したのです。
劇:♪ 自然の猛威に人はなす術もなく ♪
寺田:「ああ、劇やったじゃん」となりました。
本当に昔はこういうことがあったわけだから、自分たちも
同じことやっちゃいけない。
ナレーター:「早く避難すべき」だと家族を説得した寺田さん。
一家は、寺田さんの強い訴えに押される形で、避難指示が出る前の
午後10時頃から、避難を始めました。
千曲川はその後、水があふれ、午前4時頃堤防が
決壊したと見られています。
お母さん:効きましたね。子どもの一言が。
「大げさに行動した方がいいよ」というか、まあ、
「来ないだろう」というより「来るよ!」っていう、
そういう前倒しで言ってくれたのが(よかった)。
子どもに教わったかなと思っています。
ナレーター:一家は無事に避難したものの、自宅だけでなく、
家のリンゴ畑も大きな被害を受けました。
寺田:水にもつかっているし傷んじゃってるんで。
ナレーター:小さい時から通っていた商店は、
建物ごとなくなっていました。
水害の恐ろしさを体験した今、寺田さんは
あの歌の大切さをあらためて感じています。
そして、今度は自分たちが復興を担い、教訓を伝えていく番だと
考えています。
寺田:自分たちがここでこういうふうに経験して、
それを次に伝えていかないと、またいつ決壊するかわからないし、
それこそお年寄りの人たちがいたから、この劇ができたわけで、
次は自分たちが伝えていかなければいけないという
使命感があります。
桑子キャスター:寺田さんの他にも、あの歌をきっかけに
避難をしたという同級生がいたんだそうです。
寺田さん、これから自分たちで何ができるか、
みんなで話し合っていきたいと話しているそうです。
有馬キャスター:頼もしいですね。若い力に期待したいと思います。
台風19号で被害が出てしまったことは、
重ね重ね残念なことだと思っています。
その上で、今回のニュース。
教師の立場だと、劇に費やしたエネルギーが、
活きたことに、喜びがあったと思います。
劇を演じた子どもたちの中に、劇の歌が残っていて、
適切な行動につながったのですから。
※関連:FNNPRIME “桜づつみ”で再会 千曲川の堤防に歌声響く 長沼小卒業生「立ち上がり、友と一歩ずつ」 長野
☝ 11月21日の長野放送ニュース映像です。
寺田さんの同級生21人中16人が集まりました。
当時担任だった竹内優美先生も登場します。
「桜づつみ」の作詞作曲者でもあります。
さらに、寺田さんたちに昔の水害の話をした「お年寄り」も加わります。
NHKニュースのさらなる理解で見るといいです。
ただいつまで見ることができるかな。
コメント