「二ホンGO!」その2/「人、二人説」の根拠
今日は令和元年8月28日。
前投稿に引き続き、2010年5月20日放映の
「みんなでニホンGO!」より。
番組スタッフは盛岡市で調査します。
財団法人新渡戸基金の藤井茂さんが、
次のように言っています。
藤井:新渡戸は漢字をよく使った。本の中にですね。
漢字をよく分解して説明しています。
わかりやすく説明しようとして、
漢字を分解することは多かった。
そして「人」については、
著書「世渡り道」に下記のように書いてあったそうです。☟
人といふ字は、二本の棒より成り、
短い方が長い方を支へてゐる。
両者は支へつ、支へられつして、
人といふ字を構成してゐる
ここに、「人、二人説」の根拠がありました。
新渡戸稲造の説を、金八先生が現代に広めたことになります。
しかし、新渡戸は同じ著書で次のように書いています。
この説文(せつぶん)が学術上果(は)たして
當(とう)を得たものであるとは信じ難いけれども
どうやら新渡戸稲造は、漢字を分解して、
言いたいことを伝えることを好んだようです。
ただし、学術上の根拠があったわけではないのです。
明治大学の齋藤孝教授は次のように言っています。
新渡戸さんは漢字の語源よりも、生徒たち人々に
一番大切なことを伝えようとしたと思います。
漢字の成り立ちを通じて「これが一番生きる上で、
大切なこと」なんだよと、漢字のひとつの例として
話されたと思います。
そのほかの漢字分解の例として「武」が紹介されました。
著書「武士道」の中で、新渡戸は次のように書いています。
「武」という字は「強さ」「勇ましさ」を表す漢字であるが、
「戈(ほこ)」を「止(とど)むる」と書く。
つまり「武」の究極の姿は「争いを避けること」にある。
これは新渡戸稲造の考え方による分解・解釈です。
実際は・・・京都大学大学院の阿辻哲次教授によると、
「止(まる)」の部分は、もともと人間の足跡を
かたどった文字であり、進軍する、行進する、
歩くという意味だそうです。
つまり「武」の正しい成り立ちは、
「止」で争いを避けるのではなく、
「戈」をもって進軍することだったのです。
以上の話を知って、私は新渡戸稲造さんとの距離が
近くなったような気がしました。
頭が柔軟な人だったんだなあと思いました。
9年前の番組「みんなで二ホンGO!」のこと、
まだまだ書きます。
つづく
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